「お金で買えないものがある」フォックスキャッチャー kalichan88さんの映画レビュー(感想・評価)
お金で買えないものがある
ロサンゼルスオリンピックでレスリング金メダルを取ったデイブ・シュルツとマーク・シュルツ兄弟。ある日、弟マークの元に、デュポン財閥御曹司ジョン・デュポンから、彼の元でレスリングのトレーニングしないかと声がかかる。大金持ちだが闇を抱える彼と兄から独立したいと思っていたマークは仲良くなっていくが…。本当にあった話をベースに作られた映画。
ジョン・デュポンはアメリカ一の金持ちとも言われるほど資産のある家の当主なのだが、ちっとも幸せそうじゃない。そしてシュルツ兄弟が持っている兄弟愛・家族愛を望み憧れているのだが、それはお金でどうできるものでもない。この映画を観ていると、人はお互いを影響し合い、支えあいもすれば捻じ曲げもする、どうしようもない生き物だなぁと感じる。映画は始終静かに流れていくが、心の歪みはそうやってじわじわ作られていくのだと、見ていて悲しくそして同情してしまうのである。
また、アメリカの歴史や、統治する人間と率いられる人間、というテーマも扱っている。「差」というのは、上に居る人間も下に居る人間も苦しめる要素なのかもしれない。
レスリングは日本人にはあまり馴染みのないスポーツだが、なんとなく柔道や相撲に似ている。きっと人間がやるスポーツの原型はこれなんだなぁと思った。ボディコンタクトや業のポーズがなんとも独特。
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