「狂う男」フォックスキャッチャー 独りよがりさんの映画レビュー(感想・評価)
狂う男
先週は、アメリカンスナイパーで、少なくとも見かけは正常さを取り戻した男の話しだったが、今回はどんどんおかしくなっていき、真面さを失う男の話しでした。
見る前はスナイパー同様、アメリカ人ぽい話しなんだろうなあと思ってたら、意外にそうでなく、この映画は普遍的な寂しい男の末路を描いている。
映画評を読むと、殺人の動機はよくわからないような描き方だと書かれてはいるが、私の感想は違った。金持ち御曹司の寂しさをこれでもか、これでもかと冷めた色調の画面いっぱいに描いていて、観ている方は途中でへきへきする。金持ちでさえなければ、普通の、少しばかり寂しがり屋の男で済んでいただろうにと思った。
主役はコメディアンとのことだが、この演技力は只者ではない。少し過剰すぎる、虚ろな目の演技が鼻にはつくが、これでアカデミー主演男優賞にノミネートされたというから大したもの。
まっ、私としては弟のレスラーを演じた俳優さんが良かったかな。一番感情移入できたし、ラストのプロレス花道に向かう表情がとても印象的でした。
アメリカ映画でこんなドロドロ話しって、珍しいかもね。私の印象は殆ど横溝正史。弟君のラストの表情で少し救われたかもしれません。
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