「高みを目指し、結局誰一人として幸せになれず」フォックスキャッチャー 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
高みを目指し、結局誰一人として幸せになれず
どこまでが実話なのか、どこからがフィクションなのか。はたまたもしかしたら、どの役者かは本人なんじゃないか。そんなリアルが潜む。
効果音で緊迫感を煽るような野暮もせず、ひたすら人間の表情や行動を追いかけるような進行。御曹司の狂気、マークの混乱、デイブの理性、それらがじわりじわりと膨張してラストで弾けてしまう。
実話だと知っていながら、あえて予備知識を入れずに観ていただけに、その御曹司のした仕打ちに愕然とした。
そして、マークのその後を知らせるクレジットをながめ、栄光と引き換えに失ってしまったものの多い彼の人生を思いながら、涙した。
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