「好きな事で生きていくとは」キューティー&ボクサー SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
好きな事で生きていくとは
'Art is a demon. ' そんなアートに取り憑かれた日本人の男女がニューヨークで出会い、結婚し、子をもうけ、毎日を生きて、今日に至るまでを綴ったドキュメンタリー映画。
家賃、電気代や水道代、食費。まずは生活しなければならない。そして、Cutieこと妻ののりこさんは、自分の作品制作と友人との飲み会以外は何もしない夫の分まで家事、育児をこなしつつ、夫のアシスタントもしながら(!)、彼女自身の作品も制作してきた。
そのことに関する文句は相当胸の内にたまっていて、2人で殴り合いをする場面を設けた監督にはグッジョブ!と思った。「アートっていうのはメソメソなんかしない、雄叫びをあげる(roar)ことなんだよ」と主張する妻に、驚き怯えるような視線を向けるご主人、牛ちゃんの顔といったら!そして、のりこさんに殴られるばかりで一発も殴り返さない様子に、私達は牛ちゃんも憎めない人だと知る。
最後に、そうした、生きるために闘うような生活が自分のアートを作った、というのりこさん。だから「最初から同じ事をやれって言われたらやるわ」と。
天晴れ、大和撫子ここにあり。
彼女から、人生の全てを肯定するパワーを分けてもらえる映画だと思った。
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