キューティー&ボクサー : 映画評論・批評

キューティー&ボクサー

劇場公開日 2013年12月21日
2013年12月17日更新 2013年12月21日よりシネマライズほかにてロードショー

ユニークな歩みを続ける前衛芸術家夫妻の40年にわたるラブストーリー

ドキュメンタリーは描く対象を選んだ時点で、9割方成否が決まると思う。29歳のザッカリー・ハインザーリング監督は5年前、ニューヨークに住む前衛芸術家の“ギューちゃん”こと篠原有司男と、その妻で自身もアーティストである乃り子と出会って心を奪われた。つまり、その時点で勝ち。開けっぴろげなこのふたりにカメラを向ければ、どんなボンクラでも面白い映画にできてしまうだろう。しかも、ザック監督は断じてボンクラではない。

段ボール造形にボクシング・ペインティングなど、「悪趣味」とも言われる芸術家のギューちゃんが40歳のとき、芸術を学ぼうとニューヨークを訪れた19歳の乃り子は彼と出会い、恋に落ちてしまう。これが、(ある意味)運の尽き。酒浸りで貧乏でデタラメな芸術家となし崩し的に結婚、妊娠・子育て・生活苦・自分の芸術を追究できないといったフラストレーションと向き合わざるを得なかった乃り子。80歳過ぎてもエネルギッシュで夢追い野郎なギューちゃん。このふたりのルー大柴風の英語混じりの掛け合いから、男と女の普遍的な真実があふれだしドキッと来る。

同時に面白いのが、アートを追う夫婦の姿をとらえるこの作品が、アートとしてのユニークさをたたえているという構造。裸の自分をモチーフにした乃り子のペインティング“キューティ”をアニメーションにして再生したり、古いプライベート映像を織り込んだつくりは音楽も含めて実に「良趣味」。5年間、500時間もカメラを回して80分あまりにまとめるなんて素敵。

「あたしのこと無料のアシスタントで、無料の秘書で、無料の料理係とでも思ってんでしょ」と毒づきながら、もういちどやるかと言われたらどうするのかキッパリ言い切る乃り子。しびれる。この作品のラブストーリーとしての完成度にも。

若林ゆり

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