「文句なくおもしろい。」アメリカン・ハッスル mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
文句なくおもしろい。
本作は実際にあった事件に材をとっているらしい。
それにしては、登場人物のそれぞれが、なんとキャラ立ちしていることだろう。
人は単純なようで複雑、複雑なようで単純。人間とはまことに摩訶不思議な生き物である。
稀代の詐欺師アーヴィン(クリスチャン・ベイル)は、FBIの罠にはまりリッチー(ブラッドリー・クーパー)の言うまま捜査に協力する。アーヴィンの愛人シドニー(エイミー・アダムス)がからみリッチーとのあいだになまめかしいムードが漂い、そこにアーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)もからんできて、いよいよ事態は複雑になっていく。
デビッド・O・ラッセル監督はときに時間軸をいじりながら、滑稽とも言える彼らの成り行きを軽やかに描ききる。
その演出に応える演技陣が素晴らしい。
なんといっても、ノンクレジットのロバート・デ・ニーロである。ニセモノのアラブ人にアラビア語で話しかけ、本物かどうか見極めようとするシーンは鳥肌ものである。
感動する類いの映画ではないが、すこぶるつきのおもしろさであった。
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