「グダグダと釣り上げる。」アメリカン・ハッスル ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
グダグダと釣り上げる。
ふだん映画を観ない人は、アカデミー賞最有力!なんていう宣伝に
スッと乗せられて観てしまい、エ?これ?面白くないけど、なんて
いう感想に落ち着くことがあると思うけれど、これなんかはそう(爆)
と例に挙げたくなる作品(大変失礼ながら私個人の見解であります^^;)
面白い・面白くない、はあくまで個人のベースで選ばれし問題だけど、
やはりそこに「受賞歴」がのっかってくると、急に作品の値が上がる。
昨年「世界にひとつの~」で成功を収めたラッセル監督の作品とあって
けっこうな期待をして観てみたけれど、どうにも普通の出来映え。
今回は実話であるアブスキャム事件を題材にしているのだけど、
詐欺師とFBIが組んで…なんて聞くとよっぽど面白いのかと血が騒ぐ。
誰がどんな風にどう騙されるのか、どう騙してどう収拾をつけるのか、
なんて様々な過去の名作が頭をよぎり「スティング」もどきを期待する。
あれくらい面白ければ即、アカデミー賞決定!だけど、今作は「?」
小気味よいともテンポ炸裂ともいえず、どちらかというと後味が悪い。
(ドラマは由として事件の決着では。これが実話の力ってやつね)
衣装と髪型が大袈裟にして話は小粒。そんな印象すら受けた。
じゃあどこがそんなに評価されるのかというと役者の演技なのか。
今回は監督が(おそらく)十分な資金を使って、十分過ぎる豪華な
俳優陣をズラッと勢揃いさせて出演させている。お若いながらも
(監督の作品で)受賞してしまったJ・ローレンスは正に水を得た魚、
そこまでやるか!的な極楽ビッチ役を最上段で見せつけてくれる。
彼女のパンチで目が覚めた!くらいにグダグダしている話なので、
けっこう前半~中盤にかけて眠くなる(あとは氷湖の釣り話かしら)
残る3人はイロイロ仕掛けて、内心どうしよう~的な役回りが多い。
「ザ・ファイター」で痩せまくったC・ベイルは、今回デブ&一九禿げ
に挑んで笑いを誘う。彼に献身をつくす愛人A・アダムスもなかなか。
パンチ頭のB・クーパーは、彼らに指示を与え虚栄心を満たしつつ、
アダムスに惹かれていく。騙される市長のJ・レナーが何とも哀れで、
真相を聞かされての激怒に泣ける。イイ奴なのか?悪い奴なのか?
その辺りの線引きが難しく、単純にこういう人間。と割り切れない
グダグダ人間の集合体(汚職政治家を除いて)が蠢いているお話。
引き締めるといえばジェニファーと、やはりこの御大、デ・ニーロ。
大物マフィアの出立ちで出演時間もほんの少しなのに、まぁ怖い!
絶対に誰か殺される!?って思いますからね、あの展開では^^;
ラストのネタばらしで、いよいよ!スカッとくるはず!なんだけど、
説明不足と短尺が致命的。ラストでもっと盛り上げられたろうに~。
総てにテンポが悪い、でもこういうのが作品賞とるよね、みたいな
ディカプリオがまたも辛酸舐めちゃったら可哀想な、対・注目作品。
(異様に可笑しいのは髪型と衣装。でもハッスルには足りてましぇん)