「役者魂に驚かされる一本」アメリカン・ハッスル pullusさんの映画レビュー(感想・評価)
役者魂に驚かされる一本
脅威の肉体改造で知られるクリスチャン・ベールが、今回も期待を裏切らなかった。『マシニスト』で1年間眠らない男の役を演じたとき、体重を55キロまでそぎ落とした彼が、今回はお腹に水風船でも入っているのではないかと思わせるほど立派なおデブキャラ、アーヴィンを演じきった。冒頭からこれみよがしにベールのぽっちゃり腹のファーストショットで始まるから笑ってしまう。
さらにベールに負けじとジェニファー・ローレンスの演技も熱い。若干二十歳そこそこにして、見事に人生に疲弊したアーヴィンの妻役を熱演したから驚きだ。彼女をはじめてみた人はきっと実年齢も40歳近いおばさんだと思ったに違いない。タバコに火をつける動作や、視線の繰り方、話し方などの所作が作りこまれている。
内容に関しては、複雑なテーマのわりにコンパクトに収まっている。それぞれ5人のキャラクターの配置もよい。ただ、感情移入がしやすい映画かというと、そうでもない。設定やテーマが面白く、テンポよく話が進むのはよいが、鑑賞後、ドラマ的な感動が得られない。
また、残念なことに、ベールのぽっちゃりお腹は冒頭のファーストショットとプールサイドのみのお披露目となっており、少々もの寂しい。
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