「あれが捜査だとしたら、かなり杜撰。」アメリカン・ハッスル 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
あれが捜査だとしたら、かなり杜撰。
実話を下にした作品。って言うか、作品クレジットでは“いくつかの事実を含む”と言う感じでしたかね(笑)。ちょっと、脚色が強かったと言うことでしょうか。
下敷きとしたのは、1979年にアメリカ政界に巻き起こったアブスキャム事件。詐欺師グループをおとり捜査に使ったというところが、当時問題視されたようです。って言うか、今でも、問題視されると思うけど。
この作品を見ていると、最後の方にいみじくも、アーヴィンも語っていますが、“悪い事をしようと言うよりも、地元のために一肌脱ごう”と思った熱意ある人々を引っ掛けてしまったという後味悪い感じがしますね。アメリカの理論では“悪いことをしようとしているから囮に引っかかるんだ”ということになるのかもしれませんが、本心かどうかは知りまえんが、カーマインは確かに、怪しさを感じて一度ホテルを出たのに、無理やり(?)連れ戻されたみたいなものですし。
あと、問題だった(?)のは、リッチーがFBI捜査官であるにもかかわらず、ドンドン悪乗りしてしまっているところでしょうか。あと、元々は、詐欺の被疑者というか、百歩譲って囮作戦の協力者であるシドニーに惚れてしまうというのは、どうなんだ!上司に暴行しているし、リッチーが逮捕されていないのが、不思議なくらいでしたね。
最後の結末は、ちょっと意外。なるほどねぇ。まぁ、途中から、リッチーはやりすぎだなぁと思っていたし、意外にアーヴィンが詐欺師なのに常識的(笑)だなぁとも思ったし。でも、逮捕された政治家たちは、ちょっと気の毒(特にカーマイン)には思いました。
いやぁ、それにしても、クリスチャン・ベイルは、カメレオン俳優の面目躍如ですねぇ。あのブヨブヨした体。役作りとはいえ、あそこまで・・・。もう、元に戻ったそうですが、凄い。体に悪そうですが・・・。で、役作りと言えば、元祖はロバート・デ・ニーロ。彼も、十八番のマフィア役で出ていました。迫力が違いましたね(苦笑)。
2014年の第86回アカデミー賞では、最多10部門ノミネート(作品賞、監督賞、主演男優賞(クリスチャン・ベイル)、主演女優賞(エイミー・アダムス)、助演男優賞(ブラッドリー・クーパー)、助演女優賞(ジェニファー・ローレンス)、脚本賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞)。アカデミー賞の前哨戦となる第71回ゴールデングローブ賞では、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)レオナルド・ディカプリオが主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)、主演女優賞(エイミー・アダムス)、助演女優賞(ジェニファー・ローレンス)を受賞しています。