フルートベール駅でのレビュー・感想・評価
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不条理な世界・・・
割と近年に起きた事件の映画化だったんですね。 もしこれが携帯の無い時代に起きた事件だったなら、全て警察の言い分のみしか報道されなかったと思うと、物凄くゾッとします。 とは言え、エンドロールの字幕を見ると、結局は・・・。 何故主人公のオスカー青年が殺されなければならなかったのか、本当に黒人だったからと言う理由しかないのが悲しいし、許せない! もし白人だったなら、一体どうだったのか、いいとこ職質ぐらいなものなんでしょう。 この辺は日本人には分かり難い感覚ではありますが、とにかく悲しいとしか言いようがありませんね。 確かにオスカーは元犯罪者、気性も荒いし、仕事は遅刻でクビになって無職だったし、褒められた人間ではなかったけど、家族や仲間や野良犬にも優しい根はとてもいいやつでしたから、それだけにまるで虫けらのように無抵抗で警官に殺された事実が、とても悲しくて仕方がありませんでした。 お母さんや、娘さんの悲しむ姿を見ていると、心が痛い。 せめてこの事件が教訓となってくれれば良いのですが、そうもいかないのかなぁ・・・。 まあとにかく一度は見ておいて損の無い映画でしたね。 マイケル・B・ジョーダンの演技も心に残りました。
2009年の事件ですが今でも同様の事件が起きている
いっそドキュメンタリーとして作ってくれたほうがよかったかも。まだ若いんですよね監督さん。 彼女役の女優さん、ずっとセレーナ・ゴメスだと思ってたら、全然違いました。
終わらない悲劇
この映画は、2009年の元日、カリフォルニア州フルートベール駅のホームで実際に撮影された映像で始まる。 喧嘩騒ぎで停車中の電車から黒人青年のグループが降ろされ、警官に拘束されたのだ。 武器を持たない丸腰の青年オスカーがうつ伏せに組み伏せられた上、警官に撃たれ、命を落とした。 ストーリーはそこから前日の2008年大晦日の朝に遡る。 オスカーの新年の誓いは「売人をやめること」。オスカーには服役した経験もあり、遅刻癖がたたりスーパーの仕事もクビになっていた。 彼が問題を抱えていたことは確かだ。 しかし、彼は幼い娘タチアナと母親である恋人、母親、家族のために真っ当に生きようとしていた。 彼は、娘を愛し、母親の誕生日を忘れない、だれとでも直ぐに打ち解ける人懐っこい青年で、理由もなく人に暴力を振るうような人間ではなかった。 そんな彼の本質を警官は見抜くことは出来なかった。 大晦日の深夜、治安の悪い地域のあちこちで騒ぎが起きていただろうことは想像に難くない。警官たちもいつもより殺気立っていただろう。 黒人青年に対する偏見がその目を曇らせたことも確かだろう。 確かなことは、彼が殺される理由などなかったこと。 そして、この後も同じような事件が後を絶たないことが何よりもやりきれない。
死によって際立つ生
ガスバンサント監督さんのエレファントに似ている構図です。 主人公が死ぬことが決まっており、ありふれた一日ですが、些細な出来事も大切に映ります。死なないなら退屈に映ると思います。 死ななくても同じ一日であり、同じように大切なはずだし、自分だって今日死ぬ可能性だって十分にある。そんな気持ちで鑑賞でき、良い映画体験となりました。
観るべき映画というのは納得
オスカーが亡くなることがわかっているから、家族や友達との何気ない日常が観ていて辛かった。オスカーがどういう人だったのかをテーマに描いていたからよかった。オスカーを殺害した警官がスタンガンみたいなのと拳銃を間違えたってさすがにないなと感じた。それで過失致死になって刑期も短くなるって本当に信じられない。他の警官も辞職で済んどるってのが納得できないな。この映画を観るまではこんな悲惨な事件があったのは知らなかったけど、オスカーのことはこれからも忘れてはいけないなと思った。最後のオスカーの実の娘が出ていたシーンはなんか印象的だった。
差別と後悔。
その最期を知りながら観る作品ほど辛いものはない。 全米で大問題になった事件の映画化で、動画映像は 日本のニュースでも流された。なぜ彼は無抵抗のまま 警官に射殺されてしまったのか。憤りの謎を解く前に、 儚く散った22歳黒人青年の最期の一日を描写していく。 青年とはいえ妻も子もいるオスカーにとって、再出発 をかけた一日であり、母親の誕生日でもあった大晦日。 家族団欒を楽しみ、仲間と花火を見て電車に乗るが、 それが思わぬ乱闘事件の引き金となる。 冒頭で流される実写映像から見ても完全に警官の失態 (故意かは分からない)であるのは明白で、 貧困が差別を生む背景のおぞましさに背筋が寒くなる。 これが白人相手なら口頭注意で終わったんじゃないか。 オスカー女優O・スペンサー演じる母の哀しみが胸を突く。 (車よりも安全だからと案じて) 「私が、電車で行ったら?って言ったのよ…」 愛息子を失った母親に一生のしかかる後悔となった。
やりきれない。
貧困にいるアフリカ系アメリカ人と、白人下層の警官の対立。やりきれない。 貧困はなるのでなく、作り出される。 作り出された貧困によって、低賃金での労働者が生み出される。 黒人差別の問題でなく、それを生み出すシステムに目を向けなければ、似たような事件はまだおきる。
人一人死ぬとは…
2009年元旦、一人の黒人青年が無抵抗のまま白人警官に射殺された。 この痛ましい事件を映画化。 映画は青年オスカーの最後の一日を綴る。 クライマックスまでは淡々と描かれ退屈に感じるかもしれないが、オスカーの人柄を知る上で重要パート。 ヤクの売人で逮捕された前科者ではあるが、轢き殺された犬を助けようとする心優しい青年なのだ。 恋人が居る。娘が居る。家族が居る。友人が居る。 刑務所を出所したばかりで、愛する者たちの為に心機一転、人生をやり直そうとした矢先…。 境遇は違えど、アナタの隣人、傍に居る人と変わりはしない。 何の邪念を払って見ても、オスカーに否は無い。 これは一方的な偏見と暴行。いや、殺人だ。 もし、オスカーが白人だったら、結果は違ったのだろうか。 些細な偶然と擦れ違いが生じて事件は起きた。 新年の祝いに電車で行った方がいいと言った母。 電車の中で偶然出くわした、顔見知りの女性。 電車の中で偶然出くわした、刑務所時代に因縁つけてきた男。 人一人の人生で、劇的な出来事はそう起こるもんじゃない。 が、人一人死ぬ。それはどれだけ大きく悲しい出来事だろうか。 先日もアメリカで、無抵抗の黒人青年が白人警官に射殺された事件が起きたのは記憶に新しい。 何十年も前ならまだしも、ごく最近だ。 確かにアメリカの人種偏見はかつてと比べると、良くはなってきた。 しかし、社会の片隅、奥底では、まだ根強く残っている。 こびりついた汚れはそう簡単に拭いきれない。
悪というレッテル
悪と言うレッテルを背負って生きて行く上で常にリスクを伴うのは社会には認めてもらえない。ということだ。ブラザーや連れと仲良く楽しく自分たちのアイデンティティをキープし主張して生きて行こうとすれば、社会からは除け者扱いをされる。本当に改心して過去の自分との決別をするには生活スタイルから好みのファッション、髪型まで、社会に認められるように演技でもいいから、変えなければ普通の社会には入り込むことは出来ない。所詮、半端物のレッテルを貼られ、高い評価を受けることも少ない。特に刑務所や、売人を経験したとなれば社会復帰は本当に難しい。オスカーも気持ち的には真面目になって「T」や彼女を幸せにしたい。ママを喜ばせたいと本気で思ってはいたのだろう。だが、悪の群れから逃れるためには全ての悪(友人も含め)を敵にしなくてはならない。そうすることで善は味方となるのではないだろうか。しかし、22歳というのは若すぎる。本当に悲しい出来事だし、この事件によって暴動を起こすアメリカという国が俺は好きだし。憧れる。
こんな現実が有っては絶対にいけない!この事件を決して忘れてはならないと思う
今年は、何故か、アフリカ系アメリカ人に対する差別問題を描いている作品が多い年廻りである。 大好きだった「大統領の執事」の公開に続き、アカデミー作品賞受賞作の「それでも夜は明ける」が今年の早春に日本でも公開された。 この2本の作品は共に実話に基づいたアフリカ系アメリカ人に対するアメリカ国内で起きた差別の歴史を映画化したドラマだ。 しかもこの2作は共に、黒人監督が撮り上げたと言う点でも、これまでにない試みでも有り、そして制作段階でも「大統領の執事」では映画制作に対する多くの反対が有り、撮影準備は難行していたとも聞いている。 だがそんな話を耳にすると一つの疑問が湧いた。 2008年にアメリカ史上初の黒人大統領のオバマ政権も誕生し、彼の任期も2期続投で、今や、アメリカ国内に於いては、アフリカ系の人々に対する偏見や差別はこれまでよりは、軽減されてきていると、能天気の私は勝手に信じていた。 しかし、余りにもこの手の映画が連続して制作されている背景として、現実的には、やはり差別や偏見がオバマ大統領誕生を契機に、日常から軽減される事は、期待される程多くは無かったのかもしれないと言う持論を持つに今では至った。 そして本作「フルートベール駅で」を観て、この事件が実際に起きたのは2009年と言う事を知り更に驚きと共に戦慄が背中を這って行くのをシミジミと感じるのだった。 やはり長年にわたり差別をしてきたと言う歴史が現実的に有る以上、そう簡単に、人々の心の中から、その差別する意識だけを取り除くような改善する方向に持って行くと言う事の現実的な難しさが有る事をこの映画を通して学んだのだった。 この映画の主人公のオスカーと言う青年は僅か22歳と言う若さで、警察官の一方的な不当逮捕事件に巻き込まれ、そしてその時に起きた発砲事故に因って命を落とす事となった彼の最期の数日を描いた哀しい物語だ。 このオスカーを演じているのは「クロニクル」で一躍注目されたマイケルBジョーダンだと言うが、私は未だその作品を観ていないので、本作が彼を観る始めての作品となるのだが、暗い過去にも負けずに前向きに再生しようと試みる若い青年の役を見事に熱演している。だが、この映画で最も特筆するに値するのは、このオスカーの母を演じたオクタビア・スペンサーが、誇り高く立派な信仰と共に強く優しく責任感ある母親を見事に演じきっている点が見事だ。彼女の芝居が生きているからこそ、オスカーの家族が如何に絆を強く持ち、自己に恥じない立派な人生を築く為に、日々精進して生活して来ていたかが見えて来る。そしてその日常こそが、人が生きる事、人生そのものであり、生命の素晴らしさや家族の絆こそ、何物にも代え難く大切で有る事を語ってくれる秀作であった。
普通のたんたんとした日常の悲劇
なんて悲しい実話。 なんともやるせない。 仕事なくして子供もいるのに、愛する家族のためにヤクの売人からも足をあらいまっとうな人生を送ろうとした矢先の悲劇。新年祝いを電車で行く事を勧めたママにもこの事実は重くのしかかる…。 撃たれる夜までの日常を描いただけですが、その最後がわかっているだけに重すぎます。 警官の無謀さに怒りも感じます。 白人黒人の人種差別も交差しているのでしょうか。 ただただ、無防備に撃たれたこの普通の青年を忘れないように、誰にでも優しかったこの青年を描くことがひとつの救いだったのかも。
良かった…ですか?
なんだか全然良さが分かりません… オスカーが困難な状況で、懸命により良く生きようとして努力していたのはよく分かります。 彼の家族に対する愛も。 でも、それと事件との関わりがあまりになさ過ぎて、理不尽で、「お気の毒でした」という以上に言うべきことがなくて… その理不尽さを訴えたいのかもしれないけど… なんとも反応に困ってしまいます…
心に刻み込まれる名作
この作品に寄せる数々のコメントが届いている。その中で、「絶対に観てほしい」「今年一番の映画」という声が続々あげられている。 このコメントに間違いはなく、確かにこれは絶対に"見るべき映画"なのだ。 これは2009年の元旦、カリフォルニアのフルートベール駅で実際に起きた事件をもとにした映画である。無防備な黒人の青年が警察の手によって殺された事件だ。この悲劇にアメリカ中が動揺した。 もちろん当時のことを知っているアメリカの人々はこの映画に深く感銘を受けたことだろう。しかし、我々日本人には、アメリカの悲惨な出来事がどう映るだろう。日本という国は肌の色も同じで、拳銃も日ごろ目にすることなく、女性が夜中にひとりで歩くことのできる国だ。だからこの事件そのものも遠い話のように聞こえるのではないか。 応えは否。この映画は国境や肌の色、差別を超えたメッセージに溢れているのだ。1人の青年の尊い命が一瞬にして奪われた現実。それこそがこの映画がもっとも我々に伝えたいメッセージなのだろうと思う。確かに、アメリカ合衆国の現実を突きつける映画ではあり、怒りに震えることもあった。しかし、映画が気づかせてくれる大切なものとは、オスカー・グラント(マイケル・B・ジョーダン)の人生と、彼をとりまく家族と友人たちなのだ。 1人の人間の死というものがいかに重いものかを改めて実感させられる。そして死という現実からは決して逃れることができず、それはいつ我々の人生の前にはだかるかは誰にもわからない。 この映画は見る人によって様々なテーマを与えてくれるだろう。しかし共通して言えるのは、どのような形であれ、人々の心に刻み込まれ生涯忘れられない1本になるに違いない。
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