「差別と後悔。」フルートベール駅で ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
差別と後悔。
その最期を知りながら観る作品ほど辛いものはない。
全米で大問題になった事件の映画化で、動画映像は
日本のニュースでも流された。なぜ彼は無抵抗のまま
警官に射殺されてしまったのか。憤りの謎を解く前に、
儚く散った22歳黒人青年の最期の一日を描写していく。
青年とはいえ妻も子もいるオスカーにとって、再出発
をかけた一日であり、母親の誕生日でもあった大晦日。
家族団欒を楽しみ、仲間と花火を見て電車に乗るが、
それが思わぬ乱闘事件の引き金となる。
冒頭で流される実写映像から見ても完全に警官の失態
(故意かは分からない)であるのは明白で、
貧困が差別を生む背景のおぞましさに背筋が寒くなる。
これが白人相手なら口頭注意で終わったんじゃないか。
オスカー女優O・スペンサー演じる母の哀しみが胸を突く。
(車よりも安全だからと案じて)
「私が、電車で行ったら?って言ったのよ…」
愛息子を失った母親に一生のしかかる後悔となった。
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