「1955-2011」スティーブ・ジョブズ1995 失われたインタビュー akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
1955-2011
1995年の映像。現在から20年ほど前だ。ジョブズちょうど40歳、亡くなる16年前のある意味最も充実した時期のインタビューなのかもしれない。ローレン・パウエルと結婚して四年目くらい。トイストーリーの公開直前か。ピクサーを立て直し、NeXT社でMacに数年後に搭載されるOS Xの研究開発を行っていた時期だ。映画「スティーブ・ジョブズ」2016 の二つ目 NeXT社でのcube発表の7年あと、三つ目iMac発表の少し前。
まだ、ノートパソコンは非常に高価で、iPod はおろか、iMacも、iPhoneもこの世に存在しない。しかし、この時期のスティーブには、WEB技術が世界を席巻することは自明の理であったことが窺える。ハードそのものや知識が普及していない時代にコンテンツの重要性を強調している。すごい。
考えてみればインターネットは現在よりはるかに低速で通信され、使える場所も限られており、ハードディスクは250MBとかで、いつもクラッシュしていた。Appleが、まぬけにコピーされたWindows PCに完全に敗北していた時期。いや、ほんとはWindows陣営は、Macintoshを完全コピーしたかったのだと思う。Apple経営陣がそこを分かっていなかった。
スティーブ・ジョブズの年譜は、ごく大雑把に、三つの時期に分けられる。一つ目は、20代のApple創業期。そして二つ目は、新製品Lisa 及びMachintoshを発表しながらも、自ら引き抜いたジョン・スカリーに会社を追放され、ルーカスから買った無名のピクサー立て直しと、小さなNeXT社でOS 開発を行っていた30代。
そして三つ目が、40代、50代のApple再興期。輝かしい21世紀の初期に名声と資産と家族を築き上げた。
このインタビューからは、一つ目と二つ目の時期を総括しているスティーブ自身の生の声が聞ける。まだ40歳の生のスティーブは、いかにも19世紀の人間らしい成功すれば、他人がどう思おうとたいして気にしなくていいという気風があり、言葉にも現れてはいる。しかし、20代の自分を反省している風でもある。
ビデオ画質は、思ったほど悪くなかった。貴重なインタビュー映像であり、インタビュアーもよい。あえて言うなら、当時としては、内容を瞬時に理解できる人はほとんど居なく、仮にいたとしてもスティーブ・ジョブズの評価が定まるのに10年くらいかかるので、文字通りお蔵入りになってしまったのかもしれない。亡くなってもうじき5年たつ。