2つ目の窓のレビュー・感想・評価
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背中痛そう
ドキュメンタリーのような撮り方をする監督ではあるが、役者と一般人の混ぜこぜは、役者による芝居の不自然さを時に感じることもあったのであるが、松田美由紀の死出の旅を皆で見送るようなシーンは、三線の刺さるような音色と彼女の演技が相成り、素晴らしい出来栄えになっている。死を皆で分ち、その不安を中和する。なるほど、音楽とはそういうものかと感心する。
全体を見るとテーマ性にダイレクトな映像表現が目立ち、あざとさすら感じるような場面もあった。美しく撮るのであるが、何事も美しい訳ではないので。
他人の親子喧嘩に入ってくる姿には笑ったが、浅黒くやけた肌と性に積極的な女性像と内向的な男の子像のコントラストが効いている。女子側のストーリーの明確さに対して、男子の方は特にラストの行動が不明瞭。コンプレックスの塊か。前半に実の父親まで連れてきて、どのような変化で性を受け入れたのか分からなかった。
生命のサイクル
どんなにテクノロジーが発達しても、社会が複雑化しても人が生きるというのはとてもシンプル。
母親から生まれ、命を頂き、子供を作り、死ぬ。河瀬監督のフィルムはいつも、この生命のサイクルを日本人的な感性で繊細に描き出します。本作でも奄美大島に生きる人間の当たり前の日常と自然を神々しく撮っていましたね。私はこのフィルムが好きです。
人は過去から未来へこの生命のサイクルを繰り返しているに過ぎません。それを思うと、ふといつもの日常に先人達の生命を感じることができて、全てが妙に愛おしくなりました。
タイトルの意味が‥
ちょっとよく分からない。
どうして日本の南の島はこうも命を感じさせるのだろう。やはり何かしらの力が働いているのか。オーラが出ているのか。そんな神秘的な島の中で、死、セックスなど、リアルな生が入り混じる。それに純粋すぎる主人公が翻弄される。最後ヒロインと結ばれた後も、やはり神秘的だった。その表現が美しかった。
生と死 生と性 生と静
生と死だったり少年少女の生(性)への目覚めがテーマなのかなと漠然と。
前半と後半の区切りが明確であった。
前半はなんと言うかとても生っぽく、登場人物も彼らの台詞も間も声のトーンも息遣いも舞台となった自然も全てが全て作品にとってプラスにはたらくような感覚を覚えた。
後半は台詞が多かったが、その台詞のひとつひとつが登場人物の心を繋いでいるようで、とても良い。ただ、その台詞の多さがゆえに説明的になってしまったのは少し残念。
自然の、演出されない自然な美しさがとても魅力的で、それだけでも観る価値あり。
よく分からなかった…。
村上虹郎くんが主演してるのを知り観ました!
ストーリーは自分には今一 分からなかった…。
始めが少しグロかったし エッチなシーンも有り、
私的には好きではない映画でした。
(内容を分かっていないからかもしれませんが…。)
でも、界人が叫ぶシーンは単純に好きですね(笑)
クールな感じも!
何年か経って自分がもう少し大人になってから、
機会があればもう一度見ようと思います。
ちょっと退屈
奄美大島の美しくも厳しい大自然。尊厳のある死。風土に根付いた島の人びとの生き方。
これらには惹かれるものの、ストーリーとしては心に響いてくるものがなかった。あまり多くを語らないセリフが、よく聞き取れずに悶々としたり。山羊のシーンも意図があるのだろうが、映像が刺激的過ぎてその残像が残るのみ。
観る者に解釈をゆだねる寛大さがほしい
「殯の森」の河瀬直美監督の作品と聞き、難解な作品かと思って見れば、意外なほど分かりやすい物語構成に驚かされる。
奄美大島の美しい自然の中、ひとつの死から性への目覚め、そして生への繋がりを描いていく本作。テレンス・マリックの作品のような印象も受けるが、より現実的な世界観で物語を綴っていく。
それぞれの描写が時に生々しく、痛々しい。けれどもそれこそが現実だ。誰かの死を得て、それが生へと繋がっていく。そして、生ける者はいかなる形であれ、死を受け入れなくてはならない。様々な死が描かれていく中で、物語の転換点として描かれる穏やかな死のシーンは印象的である。
しかし、この作品は驚くほど台詞が多く、登場人物達の心境を必要以上に語ってしまったのは悔やまれる。特に中盤から後半にかけて描かれる主人公2人が性への目覚めから生へと発展していくくだりは台詞そのものがチープに見える。宗教、信念、哲学にも通ずる壮大なテーマを描いているが故に、説明するのではなく、観る者の価値観に解釈をゆだねる寛大さがほしかった。
生と死、自然と人間の二項対立を超えた奄美の自然観
河瀬直美監督の『2つ目の窓』観ました。すばらしかった。生と死の二項対立を超えた、奄美の自然観を高校生の目線で描いていて、その映像美と世界観に感服。
セリフが多すぎたのが残念で、もっと観客に解釈を任せて良いのではないかと思った。
生と死、豊かさと貧しさ、自然と人間の二項対立を超えた生命の営みをよくぞここまで描いたな、と。多感な高校生の成長物語を通したからこそ、わかりやすくなってる。
生と性と静と死
生と死を、二元論的に単純化して語るのではなく、その二つの間に曖昧な生きているものには容易に踏み込めないアニミズム的な神聖な時空があると、風と波と雨と心の動きの中で丁寧に表現する。忘れていた(あるいは知らなかった)生と死の境界線に立たせてくれる、静謐な物語。
生と性と静と死。人はその連綿と続く環を巡りながら命をつないでいく。そのことが人に課す重い運命を、サラサラと流れる時間に乗せて紡ぎ出す。
監督本人が最高傑作と仰るように、河瀬作品の中で僕の心の一番深いところまで届いた作品になった。
主人公の若い二人がどうが肉体的にも精神的にも深いところでつながりあえますように……いつの間にか、強く願っていた。
解説付きで観てみたい
全国公開に先行してWOWOWで放映されたものを観させてもらいました。
難しくて理解出来ませんでした。
勉強のためにも監督の解説付きで観てみたいと思いました。
公開前にマイナス的なレビューを投稿するのはとても気が引けましたので、今日まで控えました。
家族のキズナ
ポスターの素晴らしい出来栄えに引かれ、つい観に行きましたが、中々の良作でした。
主役の若い二人より、二人の両親の演技が光っていましたね。特にイサ役の松田美由紀さんの演技が素晴らしかったです。
万人受けする作品では無いかもしれませんが、最近の日本映画にありがちな、安易に作っているような感じの映画と違い、しっかりとしたテーマを持っている作品でした。
エンドロールに流れたメインテーマ曲?もステキでした。
ところで、最後にマングローブの林でSEXをしていましたが、マングローブの木の上にはハブがいるので、止めた方がいいですよ(^_^;)。
大自然の前の生(性)と死
まずは、やはり奄美大島が舞台だけに美しい海とそこで交わる島民の温かさを感じられ、実際に島に行きたくなる気分を味わった。
そんな島で、海を愛する少女と海を愛せない少年が互いに惹かれ合う背景に、「自然と生きるとは何か」、「死とは何か」という哲学的なテーゼが交わる。さらに、少女にとっての「性」と少年にとっての「性」がすれ違う中で、ラストにその「性」が美しい海で結びつく。
自然の音がこの作品では特に印象的で、風や波の音がまるで島の「神」の動きに連動しているかのように感じた。
予備知識なしで見たが、やはり河瀬監督の作品を知った上で見たほうが理解しやすい、やや硬派な作品である。
こうして命はつながっていく。豊かな生命の物語。
【賛否両論チェック】
賛:奄美大島の人々の死生観が随所に表れていて、己の生き方について改めて考えさせられる。
否:伝えたいであろう内容がどれも中途半端で、結局何を伝えたいのかがよく分からない印象。ヤギのと殺シーンや過激なラブシーンもあり。
思春期の微妙に揺れ動く感情や、死を目前にした人間の在り方、命を受け継いで生きていくことなど、奄美大島で織り成される「生命」をテーマにしたストーリーに、心揺さぶられます。ただ正直なところ、いろんなテーマがありすぎて、なんとなく中途半端な印象がしてしまいます。
ヤギを殺すシーンがかなりグロかったり、結構過激なラブシーンがあったりしますので、そういう描写があっても大丈夫な方は、ご覧になってみるとイイかと思います。
ちょっとミーハーですが、公開初日。
久しぶりに良い映画を観ました。松田美由紀ってこんなに凄い演技ができる女優なんだ。それにしても、これだけフランスを意識して創りながらカンヌが獲れなかったのはショックだと思う。
これまでの河瀬直美監督作同様、好き嫌い分かれそう
今年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品された河瀬直美監督最新作。
劇場公開に先駆け、先日WOWOWで先行放送されたものを録画して鑑賞。
奄美大島を舞台に、少年少女の恋、人と人の繋がり、人の生と死、人間と自然などを詩的に描いている。
まず目を引くのは、奄美大島の美しい映像。
ここ日本!?…とさえ思うショットもあり、神々しさすら感じた。
大自然と共存する人々の姿には、今村昌平監督の名作「神々の深き欲望」をも彷彿させるものもあった。
河瀬直美監督お馴染みのドキュメンタリータッチ。
作られた演出ではなく、現地の人々の姿を切り取る、または覗いているような演出だ。
(メインの役者以外は現地の素人を起用)
主役の少年少女には、オーディションで選ばれた新人とフレッシュな若手女優。
界人役の村上虹郎は村上淳の息子で、ナイーブな少年を熱演。(親子役で親子共演も)
杏子役の吉永淳はまだ無名に近いが、実に初々しい。序盤、制服のまま青い海の中を泳ぐシーンは幻想的な美しさ。
魅力的な箇所もあるが、映画は決して万人受けする作風ではない。
分かり難い部分もあるし、伝わり難い部分もある。
好き嫌い分かれる。
実際自分も河瀬直美監督の作品は一通り見てはいるが、それほど印象に残る監督ではなかった。
カンヌではパルムドールを逃したものの、これから日本で公開されたらどう評価されるか。
監督自ら“最高傑作”と語る渾身作、見ておく価値はある。
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