「まさに蛇足!」青天の霹靂 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに蛇足!
上映前に中島哲也監督の「渇き。」の予告編を見ました。どうやら、ロクデナシの狂った人間たちが大勢、登場するイカレタ映画で、過激なまでの映像や演出に彩られた映画であるようなのです。余り、観たくない映画です。中島監督には関心があるものの、最近の映画って、殺したり、殺されたり、殴ったり、殴られたり、殺伐としたものばかりだな、と思わず、溜息をついてしまいました。
この映画の監督、劇団ひとりは山田洋次の「男はつらいよ」が大好きとの事だったので、この作品も穏やかな人情劇なのだろうな、と想像しながら、上映に臨みました。大泉洋はなかなかの演技力でしたし、脇を固める柴咲コウや風間杜夫や笹野高史もなかなかでした。しかし、若き日の父親役の劇団ひとりがいけません。昭和48年にあの髪形はないでしょう。まるで、ウスラバカのk-popスターです。当時の若者の髪形は七三分けか、肩まで伸ばした長髪のいずれかが、大半であったと思います(ここで☆半分減る)。そして、なにより失望したのか、エンディングです。現代に戻った大泉洋が警察から携帯にかかってきた電話により、発見されたホームレスの死体が、父親と別人だったことを知らされるのです。すると、そこに、現在、生きている父親(顔はぼかしてありますが、演じているのは劇団ひとりです)が通りかかり、大泉洋とことばを交わすのです。私はあっけにとられました。信じられませんでした。このご都合主義の脚本、一体、何なのでしょう。つい今しがた、この作品を観て、流した涙を返してくれ、と云いたくなりました。まさに蛇足です。(ここで☆2つ減る)
基本的には、劇団ひとりには映画を撮る才能が十分備わっていると思います。その才能を無駄にしないためにも次回作は、脚本を徹底的に練り上げてから、撮影に臨んで欲しいものです。