劇場公開日 2014年4月12日

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「ほろ苦いけどノド越し爽快!なアクションコメディ」ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ほろ苦いけどノド越し爽快!なアクションコメディ

2014年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

『ショーン・オブ・ザ・デッド』 『ホット・ファズ/
俺たちスーパーポリスメン!』の監督エドガー・
ライト、主演サイモン・ペッグ&ニック・フロストが
三度タッグを組んだSFアクションコメディ、
待ってましたの日本公開!

高校時代はブイブイ言わせてた(死語)中年男5人が、
かつて成し得なかったある挑戦にリベンジするために帰郷。
『12件のパブを巡り、1人12パイント(≒5.7
リットル……)のビールを飲み干す』という荒行、
『ゴールデンマイル』に挑む!

だが彼らが気付かぬ内に、故郷の町は人間そっくりの
姿をしたエイリアンたちに乗っ取られてしまっていた。
果たして彼らは、エイリアンの侵略に対抗しつつ、
『ゴールデンマイル』の最終目的地である酒場
『ワールズ・エンド』 にたどり着けるのか?
……みたいなアラスジ。

* * *

ゾンビ映画、刑事アクションのパロディ満載だった
前2作に続き、
今回は『光る眼』チックなエイリアン侵略モノのパロディ。
後半からはカンフー映画ばりのアクションも満載!

監督お馴染みのアップテンポな映像リズムで繰り出される
小気味良いセリフの応酬やキレの良い笑いとアクションが楽しい、
期待通りの快作に仕上がっていました。

* * *

サイモン・ペッグ演じる主人公ゲイリーのハイテンションぶりと、
その友人たちとのギャップが笑える。

定職に就いてたり家族がいたり、すっかりオトナな友人達に対し、
輝ける青春時代を引きずりまくりな主人公ゲイリー。
やることなすこと中高生レベルのバカハイテンション
(ピンポンダッシュ(爆))。
周りからイタい視線を浴びようが、エイリアン侵略の危機が迫ろうが、
もっともらしい(?)理由をつけて、何が何でもハシゴ酒を飲もうとする。

加えて、バリバリ80’s なあの黒づくめ超絶ファッション……
知り合いがあの格好でニヤッと笑いながら近付いてきたら、
「……あぁ……ぃぇ……人違いです……」と言ってしまうと思う。

* * *

エイリアン侵略モノのパロディ色が強くなるのは後半から。

エイリアンといっても、タコみたいな触手を生やしたヤツや
ナスみたいな頭をした黒いアイツみたいなフォルムではない。
本作のエイリアンは凶暴ではなく冷たく知性的で、
外観は完全に人間社会に溶け込んでいる。

全体の利益のために人類を統制するという彼らは
ヒジョーに不気味ではあるのだが、
バカばっかやってるオッサン達の様子を見てると、
どっちが正しいのか分かんなくなってくる(笑)。
あと、チョイ役で登場したまさかの大物にも驚いた。

* * *

ただ、過去のエドガー・ライト監督作品と比べると
ややおとなしめな印象は拭えないかな。
ずうっと楽しい映画ではあるのだけど、例えば
“クイーン”の爽やかな歌声に合わせてリズミカルに
ゾンビをしばき倒すシーンや
刑事アクションから怪獣映画までパロディを
ブッ込みまくるクライマックスなどの
爆発力のある笑いは今回は無かったなあ。

* * *

けれど、人生を諦めた男の悲哀や、そんな男が
再び立ち上がる様を描いた映画としてはこれまでで
一番の盛り上がりをみせる物語だとも思う。

終盤では予想外に涙ぐんでしまった。
輝かしい青春の思い出にすがるあまり、
いつまで経ってもオトナになり切れず、
本当は酒と孤独でズタボロな主人公が、
哀れで、惨めで、滑稽で、みっともなくて、
だけどどうにもいとおしい。

そして迎えるまさかのラスト!
いきなり映画ジャンルすら変わってしまう訳だけど(笑)、
主人公らへのエールに満ちた、優しくて楽しいラストだった。

以上!
ほろ苦いけどノド越し爽快!なアクションコメディ。
人生まだまだ終わっちゃいないぜ!!

<2014.04.12鑑賞>

浮遊きびなご