劇場公開日 2015年12月4日

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「シリーズとしての007」007 スペクター あきらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5シリーズとしての007

2015年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

私はスカイフォールがものすごく好きだった。ダニエルクレイグのボンドが私が初めて見たボンドで、肉体的にも精神的にも完璧ではなく、作中では敵に苦しめられる。人間味があるところがイーサンハントとの差で、その意味ではスペクターでも一貫していた。そして広さを感じさせる映像は本当に美しく、旅行欲が湧いてくる。
しかし、スカイフォールでボンドの過去をMと絡めてすでに掘っているため、今回のストーリーは少し物足りなく感じた。そしてボンドが精神的に充分追い詰められていない。
彼にとって、ヴェスパーの存在はカジノロワイヤル以降切り離せないものだったはずなのに、そこから解放された描写が本作にはなく、ハッピーエンドなことには違和感を感じる。
スカイフォールで終わってしまうと、ダークすぎて、シリーズとしての007のバランスを欠いてしまう、だからスペクターでカバーしたようにも思える。
もちろん充実した時間を過ごさせてくれた美しい作品だったが、私はスカイフォールが好きだ。

あきら