「私たちの愛するスパイ」007 スペクター 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
私たちの愛するスパイ
待ってました、007!
今年の冬はカウントダウンに入った「スター・ウォーズ」が超目玉だが、同じくらいの待望&期待作!
本公開は来週(12・4)。滅多に先行上映は行かないけど、楽しみにしていた一作だし、これから続々観たい作品も公開されるので(今冬は豊作!)、行ってきました!
今回楽しみにしていた最大の理由は二つ。
ズバリのタイトル、“スペクター”。
そしてあの前作からの新作だから。
“ダニエル・ボンド”は言わばシリーズのリブート。
前作のラストでレイフ・ファインズが新しいMに着任。ファンならご存知の通り、男性Mはティモシー・ダルトンの4代目ボンド以来。
Mのオフィスも登場するわ、マネーペニーも出るわ、Qも出るわ、シリーズかつての顔触れが揃い、007の新しい物語が始まる!…で幕を閉じた前作。
そこに今回のスペクター! スペクターですよ、スペクター!
ショーン・コネリーの初代ボンド時代に登場していたあの秘密結社が装いも新たに復活!
こりゃ期待するなと言うのが無理だって!
何だか今回、批評は前作からガクンと落ちたみたいだけど(ロッテントマト支持率前回90%台、今回60%台)、今回も非常に面白かったぞ!
まずは、ダニエル・ボンドになってから初のシリーズお馴染みガンバレル・シークエンス。
開幕からいきなり興奮!
こちらもシリーズ恒例、アクション映画一本分のような冒頭アクション。
夏のライバル・スパイ(?)の冒頭アクションも凄かったが、こちらだって負けちゃいない!
サム・スミスの主題歌によるオープニング・クレジット。
今回の暗示、これまでのダニエル・ボンドの映像も挿入され、そのセンスと言い、必見!
今回007に立ち塞がる脅威。
00部門廃止を推進するMI5幹部。
スパイはもう不要な過去の遺物なのか。
そして、ボンドの過去を知る男の存在。
葬り去った筈の過去、死んだ筈の亡霊。
外面から内面から、ボンドを苦しめる。
ダニエル・クレイグ演じるボンドは、ただの洗練されたスーパーヒーローじゃない、傷付き葛藤する、生身の人間。
例えばアナタには、リストラの危機があったかもしれない。
例えばアナタには、思い出したくない過去があるかもしれない。
我々と同じ心情の主人公がもがきながら打破するからこそ、我々も感情移入し、共感してしまうのだ。
ダニエル・ボンドになってから激しさを増すアクションだが、今回もさらに。
冒頭アクションに始まり、ローマ市内のカーチェイス、ギネスにも認定されたと言うクライマックスの大爆発。
また、アクションの合間合間のユーモアもこれまでのダニエル・ボンド増し。
数ヶ国を股にかけたシリーズ最大のスケール。
雪山アクション、列車内アクション、懐かしのジョーズを彷彿させるような怪力男など、ファンならニヤリとしてしまうオマージュ。
前3作との繋がり、掘り下げたドラマ性、本気の恋…。
あちこちで言われてる通り、ダニエル・ボンドの集大成と言っても過言ではない。
ブーイングされたのは今や昔、もうすっかり風格に満ち溢れているダニエル・クレイグ。
MやマネーペニーやQにも見せ場を設け、ラストは初となるチームプレー。
007最大の宿敵に、クリストフ・ヴァルツ。
スペクター首領で、名はオーベルハウザー。
スペクター幹部会で、大テーブルの上座に座り、逆光を背に顔はまだ見せないシーンはしびれるかっこよさ!
この男とボンドと前3作との関係はこれ以上言えないが、強いて言うなら、某国民的バトル漫画の宇宙の帝王のような総黒幕。
演技は言うまでもなく、やっぱりこの人は不敵な悪役がよく似合う!
誰もが気になるのは、彼はスペクター首領、プロフェルドではないのか…?
それは自身の目で是非!
ボンドガールは二人。
最年長ボンドガールとなる熟れたモニカ・ベルッチ姐さんもさることながら、共に行動する事になるレア・セドゥーの魅力!
美貌、芯の強さ、ドレス姿の美しさと言ったら!
彼女とのロマンスが、今回のボンドの人間像掘り下げに深く関わっている。
「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」「スカイフォール」の予習は必須故、忘れている方や一見さんにはちょっと着いていけないかもしれないし、シリーズ最長の上映時間も気になるかもしれない。
が、最後までワクワク興奮する事間違いなし!
噂されている、ダニエル・クレイグはこれで見納め…?
そうとも取れそうなラストだが、見終わったらこの言葉をかけたくなった。
ダニエル・ボンド、次回作でまたお会いしましょう。