白ゆき姫殺人事件のレビュー・感想・評価
全280件中、161~180件目を表示
無責任の連鎖
一つの事件を複数の関係者の証言によって、その真相が少しずつ明らかになって行く手法は、芥川龍之介の小説『藪の中』、その映画化である『羅生門』など、日本では幾つもの名作が存在するが、湊かなえは好んでこの手法を取り入れている。本作もまた、複数の証言者によって殺人事件の真相が明らかになって行く。
ただし、本作が湊かなえのデビューにして代表作である『告白』などと違うのは、その証言者達の中に、無責任な第三者が多数加わっていることだ。そんな無責任な第三者達の存在が、終盤まで事件の真相を覆い隠している。
関係者たちの証言だけでなく、Twitterユーザ、インターネット掲示板、テレビのワイドショーなど、無責任に時間を語る「発言」を同列に、かつ同時並行的に描くことで、事件関係者達の証言の無責任さが効果的に活きている。
その典型的な登場人物が、本来は狂言回しになるはずのテレビディレクター(演じるのは綾野剛)だ。彼は、関係者の証言を取材する中で「それは、あなたの想像だ」と指摘するにもかかわらず、そんな想像や自分の想像で作り上げられた犯人像を、そのまま番組で報じ、デマとも言える「容疑者」をでっち上げていく。しかも、そのことに自覚的でない。
そこにあるのは、自己顕示欲であり、事件そのものへの純粋な取材アプローチではない。だから彼は、でっち上げた「容疑者」と出会い会話しても、目の前にいる人間が彼女であることに気がつかない。要するに、自己顕示には興味があっても、事件そのものには興味がないのだ。
このように、本作に登場する人物達、あるいは画面では現れないネットユーザやテレビ視聴者達のほとんどが、呆れるほど無責任な立場を貫く。それは、事件が解決した後も変わらずに。
そんな現代社会の無責任さを描いた作品となっている。
湊かなえ原作の映画・ドラマと言えば、暗く重たい作風のものが多いが、そこは中村義洋監督の軽快でポップな作風が加味されて、殺人事件を扱っていながらも、割と軽い雰囲気でストーリーは展開している。
その点も、なかなか面白いマッチングで良かったのではないかと感じる。
余談だが、本作には『赤毛のアン』のエピソードがオマージュされている。本作の公開時に、NHKの朝ドラ『花子とアン』が放送中だったが、こちらも『赤毛のアン』のエピソードを取り入れているが、圧倒的に本作の方が上手く使いこなしていた。ラスト近くのろうそくのエピソードは、とてもいいシーンだった。
現代を冷静に表してる
人間は自分に都合のいいようにしか話さない。という夕子の話が印象的でした。
実際に人に話すのもだし
SNSなんかの投稿もそうだし。
そういうメッセージの見せ方が上手だなと思いました!
物語としては
菜々緒がこんないい人の役なわけないでしょ、
なんて思ってたら案の定だったり
犯人が誰か、
なんとなくの想像はできてしまいましたが
見応えがありました!
学んだこと、
嘘であろうが本当であろうが
言い出しっぺの話が
ベースになってしまう。
真実か嘘かきちんと見極める目を自分自身養わないといけないって
改めて思いました。
湊かなえさん…苦手
安心してみられるサスペンス
現代の社会を反映したような
映画館じゃなくていい
証言は真実か?
赤星雄治は白ゆき姫殺人事件の関係者への取材を進める。この映画は、その証言で構成されている。
しかし、証言というのは、証言する人の都合のいいように語られる。
証言者が勝手に語るストーリーには、無意識にねつ造された部分が含まれているのだ。
同じ出来事を語るにも、立場によって、語り方が全く違う。
真実と嘘が分からなくなるような怖さがあった。
また、事件関係者も私たちも、城野美姫が犯人だという先入観を持ってしまうと、どうしてもそれが真実だと思えてしまう。
(この点、非常に上手くできた映画だと思った。)
嘘を過剰に大きくしたり、大衆を正としたりする側面をもつ、
twitterなどネットの世界の恐ろしさを提言しているようにも感じた。
井上真央がすごい
Twitterが所々出てきたり、ニュース番組のVTRだったりと、今まで見た映画の中とは異なりました。
ただTwitterの文字の羅列が見にくかったり、インタビュー映像を見た後のVTRなので重複感があるなぁと思ったりして、良い印象はあまりなかったです。
内容としては、最後まで犯人が分からず、井上真央が犯人じゃないような気がしつつも、インタビューの度に井上真央以外ありえないような気がしてきます。
最後の最後にああいった展開になったのは面白かったです。
ですが、今後また見ることはないかなぁと思います。
最後に、井上真央は最初から最後までちょっとどんくさいキャラで、見ていて腹がたちました。
私の井上真央のイメージは花より男子なので、改めて考えてみるとこういったキャラも出来て、演技が上手ですね。
面白かった
白ゆき姫が殺された!犯人は、赤毛のアン…?
湊かなえの同名小説を中村義洋監督が映画化。
こりゃ思ってた以上に面白かった。
極上のミステリー!
化粧品会社勤務の美人OL・三木典子が、メッタ刺しにされ焼死体で発見。契約社員の映像ディレクター・赤星が取材を進めていく内に、同僚の地味なOL・城野美姫が容疑者として浮かび上がってきた…。
普通にサスペンス・ミステリーとしても面白い題材だが、ユニークなのは、証言やゴシップなど野次馬的に展開していく構成。
赤星の取材内容は、自身で調べ上げ掴んだ確たる証拠ではなく、信憑性を疑う証言や単なる憶測。
それが“真実”として報道され、さらに幼少時代の事件とは一切関係ない出来事をも含め、犯人に祭り上げられる。
ネット上では瞬く間に実名も公表され、誹謗中傷の嵐。
“容疑者は犯人か?”ではなく、“容疑者は犯人”と決め付けたいのだ。
便利になった情報化社会だからこそのリアルと恐ろしさ。
さながら、現代の魔女裁判。
現代社会の危うさを巧くすくい取っている。
後半は“容疑者S”城野美姫の独白。
ここで事件の真相が薄々見えてくる。
果たして犯人は彼女か? それとも…?
事件の真相は歪んだ人間感情にある。
それはネットやメディアだけでは見えてこない。
井上真央が地味なOLなのはご愛嬌だが、そこは演技力でカバー。
たまにやる気や覇気を感じられないイメージの綾野剛だからこそ(失礼!)、いい加減なディレクターが妙に似合った。(度々失礼!)
殺された三木典子は誰もが認める美人だが、性格も美人だったのか。これは菜々緒のハマり役。
その他キャストでは、貫地谷しほりが出番は少しながらインパクトを残し、TV司会者役の生瀬勝久は明らかにアノ人がモデル!(笑)
証言が食い違う「羅生門」スタイル。それぞれの証言の微妙な違いに注目。
“芹沢ブラザーズ”や“盗難事件”は事件を紐解くキー。
それらが巧く伏線として張られ、再度の鑑賞もオススメ。
ラストの“初対面”も秀逸。
噂や根拠の無い作り話が氾濫する昨今。
かく言う自分もゴシップは見るし、ネットもよく使う。ツイッターはやらないが。(単なる悪口の伝言板)
簡単に見るな、信じるな、と割り切れはしない。
言える事は一つ。
踊らされるな!
小説は未読だけど…
染谷将太好きだわ
映画自体はすごく面白かった。
ただ綾野剛扮する赤星は序盤いちいちTwitterでツイートするわけだが、心の心情をツイートで表してるというのもあるかもしれないけど、まじでどうでもいいこと呟き過ぎてて笑った。
そういった意味でもよくSNSというものを描けていたと思う。
あとは、個人的に1番怖かった
腹立つのは谷村美月扮する「親友」すね。
そんくらいっす。
あと菜々緒は嫌な女が似合う❗️
全280件中、161~180件目を表示