「勝手な想像と捏造。」白ゆき姫殺人事件 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
勝手な想像と捏造。
今回もかなりリアルで気味の悪い話だった。
湊かなえ作品にはいつもこんな感想が共通する(誉めてます)
自分から見た自分と、他人から見た自分との明らかなる違い。
出てくる証言の数々のなんと恐ろしいことか!(汗)
犯人だと名指しされる城野美姫のキャラクター作りが功を奏し、
こういう人、いるいる。と思わせるのに大いに一役買っている。
一番怖いと思ったのは、ワイドショーの再現映像やインタビュー
映像って、あんな風に作られていくのね?と思わせる段階構成。
こうだと決めつけて報道され、徐々に転げ落ちる容疑者の運命。
まだ警察も何ら発表していない時点での実名公表や、誹謗中傷の
かなり身勝手な一人歩き。それを煽っているSNSやツイッター。
過去のどの時点にもイジメが介在し(教師まで加担している状態)
それは会社勤めしても変わらないんだよ?とまで言いきる実態。
今作を観ると何て酷い世の中なんだろうと思わずにいられない。
一方で、どうして人間は外見で他人を判断するんだろうという、
仕方ないけど迷惑千万(爆)な一方向評価の度合いも著しく怖い。
私的に井上真央も菜々緒もかなり美人な方だと思うんだけど、
顔が良くて頭が良くてモテる人の性格がいいワケないじゃん!(爆)
と、結局ヒガミしか出てこないのがオンナ特有の嫉妬なのである。
必要悪な存在として描かれる小学校の同級生や三木典子だが、
TVのリポーターがいう、むしろ学歴コンプレックスを抱えていた
のは三木典子の方だったのでは?というコメントに甚く笑えた。
結局そんなものである。他人の評価に脅えるくらい小心者だから
自身を際立たせることに余念がないのだ。そしてそういう性格は、
常に誰かを貶めていないと気が済まないところが特徴だったりする。
誰にどう評価されるかは、自身が常に相手をどう評価しているかに
集約されているのでは。多かれ少なかれ反面教師なのである。
果たして城野美姫はどういう人物だったのか。
後半で城野自身が自分に起きた出来事を延々と手紙に書く場面が
出てくるが、ここでの出来事だって真実とは言い切れない。
「記憶は捏造される」のだそうだ。あぁ確かにそうだな~と私も思う。
事件の真犯人の突飛性(観ていればだいたい分かる)は怖いままだし、
本当の親友との光通信(赤毛のアンより)は最後まで貫き通されるし、
迷わず轢き殺すつもりだった?かのような疑惑のラストシーンなど、
展開の総てに「?」がつくという、だから人間の全てなんて分からない、
勝手な想像が人物を語る。という、恐ろしくリアルな作品なのである。
(菜々緒は死体が一番の演技^^;ってそれもどうかと。女は怖いよ~)