劇場公開日 2014年1月11日

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「どんな場所だろうが正直にみようと伝える」ジャッジ! Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0どんな場所だろうが正直にみようと伝える

2018年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

『ジャッジ!』(2014)

ソフトバンクの犬のコマーシャル関係者が、国際広告賞みたいなところで本当にあるのかないのか、そういった不正義な賞決定までのからくりを暴露するようなコメディーなのだが、だいたい、コマーシャル関係者のような莫大なお金が動く、大企業をはじめとする企業群に対する関係も含めて、その怪しい欲望からの日々の成り行きを、実際の内部の人間が風刺するのは、一体どういう意図があったのだろう。主人公は、いい加減な上司のいいなりになったりしながらも、青森出身ということもイメージにしているのかどうか、妻夫木聡扮する主人公が曲がったことができない、かつとぼけた人物で、人の良さを体現していて、彼が世界のコマーシャルを作る人達を味方につけていくのだが、よく日本の生徒が行う、ペンまわしがまるで曲芸のようでもあり、多角的な面で芸達者な面をみせている。それにヒロインの北川景子が、強気で有能なのに、とぼけたキャラクターの妻夫木を内心気にいりながら、突っぱねたり、ツンデレな感じでいる。こういうところに、私という筆者の嫉妬からなのか、斜めにこうした業界やこの風刺映画を観たくなってしまうところ、人間の温かみのようなものを差し込んでいる。主人公が広告宣伝業界に入りたかったきっかけとなった靴の渋いコマーシャルと、それを作った渋い外国人男性との知られざる交錯。耳をすませばピアノのバックグラウンドミュージックも高質な感じである。軽くて人生の内容もないような感じに見せながら、一見、汚い世界のように見せながら、観ているうちに温かみを感じさせたり、どんな世界でも善人のような人物がいると変化があるのかなというのもふと思わせてくれるようだなと思ったりした。主人公が自分がクビになってしまうのに、あえて規則の裏を利用して自分自身の信念を貫いてしまうという正義が、コマーシャルという大金の動くために難しい体験をしてきたのかも知れない、原作者たちの気持ちが乗せてあるのかなとも勘ぐったりしたくなったり。評価というのは、有利に画策してやるものではなく、正直にやるものだという主張を主人公が世界各国の人達にするシーンはピークである。悪役がまぎれているのもあって、善を見せているものでもあるのだが、中間の人達が、善のほうにだんだん寄り添っていく。そして話の筋による面白さを感じる工夫があって、正直が良いのだと教えている。靴のコマーシャルを作った主人公の尊敬する渋い外国人が誰が演じたのか調べられず残念。渋い役者だ。色気のシーンも抑えてあるというか、見せ方が汚れていないと思う。
こうしたスタッフがシリアスな作品を作るとどうなるのかなと思った。

Takehiro