「そうして生きていくしかない女と、トラウマを抱えて生きている男。」そこのみにて光輝く 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
そうして生きていくしかない女と、トラウマを抱えて生きている男。
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この映画、たぶん、自分の人生を振り返ってみて、痛い思い出を抱えている人ほど、身に染みてくるのだろう。
光差す「そこ」を、健気に守ろうとする千夏が、愛おしくも狂おしい。
綾野、池脇、菅田、もちろんよかった。だけど、高橋和也がこれほどいいとは今まで気付かなかった。
浜辺で二人が佇むところで映画が終わる。即座に、あばら屋の壁に千枚通しで書き付けたような、痛々しく尖んがった字のタイトルバックがどんと出た。すっかり意表を突かれてしまった。
そのせいか、息を止めたようにエンドロールを見送りながら、例えようのない感情がこみ上げてきて、じわりと涙が流れてきた。
観終わってもまだ、佇むふたりの残像が脳裏にへばりついている。
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