「底の身にて魅かれ輝く」そこのみにて光輝く uzさんの映画レビュー(感想・評価)
底の身にて魅かれ輝く
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『花腐し』との2本立てにて上演されていたが、綾野剛のキャラ付けが確かに似通っていた。
女性に甘える姿が、かわいらしいのにカッコよさも失わないのはズルい。
肝心の中身に関しては、個人的には微妙。
話自体に起伏がないのはいい。
しかし、中心のはずの達夫と千夏の感情の動き(特に最初の衝突から惹かれ合うまで)が理解しづらかった。
逆に、ストレートバカの拓児とストレートクズの中島に関しては分かり易い。
菅田将暉がこの頃から抜群に上手く、単純なのに一番行動が読めなかった。
恐らく、あの瞬間まで千夏と中島の軋轢を“痴情のもつれ”くらいにしか捉えてなかったのだと思う。
逆に言うと、他の登場人物は後半にいくほどテンプレの動きばかりになっていて残念。
とはいえ、達夫や千夏、拓児らが笑っているときにはこちらも微笑ましい気持ちになった。
それだけ彼らに実在感があり、感情が同調していたのだと思う。
役者陣の演技は素晴らしいだけに、全体的に、特に終盤が冗長なのであと15分は削ってほしかった。
数カットの出演だが、奥野瑛太の死に顔は本作の白眉。
あの空洞のような目は、達夫のトラウマに説得力を与えるには十分なインパクトがあった。
それだけに、アッサリ山へ戻る気になったのは拍子抜けしたのだが…
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