「名演技のぶつかり合い」そこのみにて光輝く nemonさんの映画レビュー(感想・評価)
名演技のぶつかり合い
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綾野剛のどうも生気のない気だるさ不器用さ
池脇千鶴の薄幸でなまめかしい様
菅田将暉の乱暴で人懐こい明るさ
高橋和也のいやらしい腹黒さ
菅田将暉の歯を黄色くまでする演出、ああ本物のようだと思った。
素晴らしい演技の連続がなければ最後まで見ることができなかった。それほどストーリーは暗く、他人の秘部をこれでもかと見せつけられているような感覚。まだ私にはこの映画を絶賛できるような理解力が備わっていないことが悔しい。
もう大人なんだから、函館という街に留まらずどこへいったっていいじゃないか。家族から独り立ちして暮らしたっていいじゃないか。もっといい仕事なんて世の中たくさんあるじゃないか。タバコ代とパチンコ代を貯金して、職業訓練にでも回せばいいじゃないか。登場人物の幸せを願うと、勝手で陳腐な綺麗事の押し付けばかりしか浮かばない。
そんな普通の選択肢がないなかで、彼らは毎日生活している。貧困で苦しいとかを押し出すのではなく、ただそれが普通の生活だと描かれている。一生懸命に生きているとかでなく、それが普通なのだという感覚。
2人が恋仲になること、腐れ縁を終わらすこと、事故があった仕事を再開すること、どれも希望として描かれるには幸せの期待値が低くはないか。でもそうやって普通の生活の中で、少しずつでも現状に抗っていくこと。それが光輝くということなのだろうか。
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