「池脇千鶴が神々しいほどに美しい。」そこのみにて光輝く junpa77さんの映画レビュー(感想・評価)
池脇千鶴が神々しいほどに美しい。
劇場公開のとき見逃して以来、何回も観ようと思いながら、映画館で観る機会に恵まれず、もうこのままでは劇場で観る機会は当分なさそうなので、レンタルビデオで観ました。
仕事もせず怠惰な生活を続けている主人公達夫(綾野剛)と、たまたまパチンコ屋で出会った軽薄な若者拓児(菅田将暉)と、その姉千夏(池脇千鶴)が、それぞれが今置かれている過酷な状況から抜け出そうと必死にあがき、傷つき、挫折し、しかし最後にかすかに見える光明の輝きに、胸揺さぶられる映画でした。
舞台は函館、しかしトラピスト修道院とは全く対極に位置するような海辺のバラックに住む千夏一家。
そこでたまたま出会った達夫と千夏。ひかれあう二人。しかし、二人にはそれぞれ人には言えない秘密、心の傷を抱えている。
一見能天気に見える拓児も傷害事件を起こし仮出所中であることが明らかになる。
お互いの秘密、傷をさらけ出し、結ばれる達夫と千夏。家族のためにまっとうな仕事につこうとする拓児。しかし、そのまま旨く行くかどうか映画は緊張感を維持したまま進んでいく。
そして終盤、拓児が大切にしていた植木鉢の野草が枯れるシーンにより、その後の悲劇が暗示される。
ラスト、どうしようもない現実、どうしようもないしがらみ、それでも二人はお互いを限りなく優しいまなざしで見つめあう。
日の出の海岸で朝日を受けた池脇千鶴の顔が神々しいほどに美しい。
忘れられないラストシーンとなった。
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