北京の自転車

劇場公開日:

解説

急速に発展する中国社会で生じる都市と地方の格差問題を背景に描いた人間ドラマ。北京へ出稼ぎにやってきた17歳の少年グイは、自転車配達便の職を得る。一定の金額を稼げれば、支給された自転車を自分のものとして所有できるため、毎日配達に精を出すグイ。しかし、あと1回配達が終われば自転車がもらえるという時、自転車を盗まれてしまう。必死で自転車を探しまわるグイは、やがて中古品として売られていた自転車を、盗品とは知らずに買ったという女子高生ジェンに出会う。自転車を返すよう要求するグイと、自分のお金で買ったものだからと主張するジェンは互いに譲らず、一日ずつ交代で自転車を使うことになるが……。中国第6世代を代表するワン・シャオシュアイ監督が手がけ、第51回ベルリン国際映画祭で審査員特別賞を受賞。日本での劇場公開は特集上映「中国映画の全貌2010」で実現。

2000年製作/113分/中国・台湾合作
原題または英題:十七歳的単車
配給:ワコー、グアパ・グアポ
劇場公開日:2010年7月24日

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映画レビュー

4.0 大きなサウナのチャンさんから宅配物を受け取るために建物に入った彼...

2018年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 大きなサウナのチャンさんから宅配物を受け取るために建物に入った彼はチャンさんを探すのに一苦労。おまけに風呂にまで入れられ、すっかり時間がかかってしまった。そして外に出ると自転車がない。探しているうちに日が暮れ、届けることを忘れてしまう。すっかり遅くなってから走って届けたのだが、会社からはクビを言い渡される。しかし、意固地な小貴。自転車にしるしを付けておいたからと直訴し、広い北京の中で見つけられるものなら再雇用してやると答えをもらう。

 傷をつけてあった自転車はやがて見つかったが、それに乗っていtのは高校生ジェン。ジェンの視点の描写も交互に描かれるが、奪い返したのになぜか所有権を主張するジェン。強情すぎるほどだったし、ジェンの仲間も協力してまた奪い返すという始末。事実は、ジェンは義父が自転車を買ってくれなかったことで、中古として父親のへそくりを使い、自分で買ったということだった。 やがて妥協点として一日おき交互に自転車を使うという選択をする2人。

 これで丸く収まったかと思ったが、ジェンの方はせっかく彼女ができたのに、自転車騒動を機会に彼女を新たな自転車ヒーロー大歓に取られてしまい、殺意を抱くようになった。そしてブロックで投打。大歓の仲間は2人を追いかけ、最後には小貴が自転車をぼこぼこにされたせいで、石で殴りつける・・・殴られた方はどうなったかわからない・・・

 もう一方で、醤油を買いに来る都会的な美女がクローズアップされているが、彼女も農村出身の家政婦であり、主人の服を勝手に着たり、困った時に売ったりもしていたのだ。

 中国における格差社会の実態。富裕層と貧困層というテーマは今もなお続いているらしいが、これはイタリア映画『自転車泥棒』でも同じようなテーマだったと思うし、和洋を問わず昔の映画で描かれてきたことだ。極端に急成長して近代的建物がそびえたつ北京だからこそ、それが強調されてるにすぎない。現代の日本にだって相変わらず貧富の差は存在してるのだ。

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kossy