劇場公開日 2014年7月12日

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リアリティのダンスのレビュー・感想・評価

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4.0リアルと幻想の狭間で映し出す少年時代

2014年7月17日
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楽しい

難しい

真紅の背景をバックに金貨が乱れ落ちながら、軽快な「シング•シング•シング」が流れる冒頭から胸高まる。
今作でホドロフスキー監督は、リアルと幻想の狭間で自らの少年時代を映し出す。
軍事政権下のチリを舞台に、幼きホドロフスキー少年に舞い込む試練の数々。
厳格な父親の躾、体罰、そして差別。
幼き少年の心はどこまでも繊細で脆くて、臆病だ。非難されれば自信を無くし、体罰を受けても親の愛に縋りつく。
そんな少年時代をホドロフスキー監督自身が癒し、包み込む。
「未来の君はすでに君自身だ。
苦しみに感謝しなさい。
そのおかげでいつか私になる」
少年時代の自分を抱きしめながら論すシーンが印象的だった。
また、今作の後半部分は共産党員だった父親ハイメの苦悩を描いており、厳格な父への「赦し」を描いているようだった。

エルトポやホーリーマウンテン程の奇妙さは抑えられてはいるが、幻想的なホドロフスキーワールドはまだまだ健在だった。
沖に打ち上げられる大量のイワシ
お馴染みの奇形の人々
魔法使いのようなアイスクリーム屋
傷を負った夫に聖水(ションベン)を腹上にぶっかける妻
ちんこにコンセントみたいのぶっさす拷問シーンなど、
ホドロフスキー監督にしか描けない幻想的な世界観とシュールレアリスムに息を飲んだ。

リアリティのダンスという題名だが、実際はどこまでが現実だったのかと疑問に思う。
もしかしたら現実の少年時代の方がもっと辛い人生だったのかもしれないと思った。
現実というダンスは、時に喜びを与え、時に空想よりも残酷な光景を見せてくる。
そう思うと、気まぐれなリアリティのダンスが意地悪に思える。

追記:アップリンクさんの粋な計らいで無修正版を鑑賞できました

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