「エンドロールは最後まで見届けて、更に爆笑!」WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
エンドロールは最後まで見届けて、更に爆笑!
この作品は何と言っても、邦画界きっての若手実力派俳優、染谷将太の魅力が面白可笑しく、矢口監督に因って余すところなく大画面に描き出される、染谷将太の一人芝居の個性に魅せられる大爆笑映画かと思っていたが、観てみたら実際は少し違っていた。
主人公のキャラは確かに都会育ちのモヤシッ子?(今では死語となりモヤシでは意味不明かな?)である、勇気君の青春コメディー、成長物語なのだが、もう一つのこの作品の魅力と言えば、長澤まさみの可愛らしさが堪らない映画でもあると思う。
と言うより、むしろ本作では、染谷以上に長澤の存在感と魅力があったと思う。
この作品の主人公の勇気君は、高校卒業を間近に控えていても、大学進学の夢も希望も学力も無ければ、熱意も無い。
一体何故一番輝いている筈の、人生の中で最も楽しくて、大切な時期であるティーンと言う時代を、どうしたら此処まで詰まらなく、シラケて生きられるの?と疑問すら持ちたくなるキャラの勇気君が、ひょんな事から、思わぬ植林業と言う異業種にチャレンジする事から始まる、青春泣き笑い、成長映画と言う感じで充分に楽しめる、邦画としては結構お得感が有り、良い線だねと高感度抜群の映画だった。
だがそれと同時にこの作品を観て、内容は全く違う作品なのだが、新藤兼人監督の「午後の遺言状」を想い起こした。
と言うのも、確かに主人公である若者の心の成長を描いた青春映画がメインの作品なのだが、それと同時に、今では忘れられがちな、我が国の伝統文化を描き出している点で、新藤監督が描いている作品の世界観のようなものを本作品にも漂わせている気がした。
そしてこの主人公勇気の就職先の上司である飯田を伊藤英明が演じているのだが、この伊藤英明も、結構こう言う役処を演じさせてみるのも確かに面白いものだと思った。
そしてもう一つはその伊藤英明が演じた飯田の祖父が植林した木を切り出しするシーンが有るのだが、思わず涙のシーンだった。
都会で生活している私などは確かに日頃は、住宅に使われている木材の産地や、家具に使われている素材である木材の出処について余り深く気にした事がなかった。
ましてや政治家でもない、一般国民である我々と何ら変わりのない人々である植林業に携わる人々が、百年後の日本の人々の暮らしや生活、自分の未来を生きる人々の幸せや、生活環境の豊かさを護ると言う事に迄想いを持ち、誇りを持って自己のやるべき日々の仕事の重要性を認識して、黙々と日々ひたすら自然と向かい合って、生き続けてこられた人達の努力の御蔭で、今の快適な生活がある。都会暮らしの私にも、その事を想い起こす事が出来たこの作品のメッセージは素晴らしい感動を私に残してくれた。
単なる青春ドタバタ劇のみ終わらず、コメディーでありながらも社会性派の骨太のメッセージを持った作品で、思いの外本作は良かった!