「神去村の人たち」WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常 harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
神去村の人たち
いやいやホント楽しい作品だった。
都会に暮らす者にとって田舎で暮らすと言うと、ある種の憧れや癒しの意味を含んでいて、そこに行けばなんか救われるみたいな感じがある気がするが、実際はそう簡単なものではないだろう。
劇中に出てくるスローライフ研究会の学生たちの姿が都会人の感覚なのかもしれない。
狭い地域では排他的な部分もあるかも知れないし、古くからの伝統や宗教観もあるだろう。
本作の主人公平野勇気のように何も考えずに下心だけの不純な(健康な男子のとも言うが)動機が入口であっても、その土地の文化や人々にある程度の時間触れ合うことで人間は変わっていく。
勇気も最後は自分の意思で自分の居場所を選択した。それは彼の成長だと思う。
本作は昨年公開の「舟を編む」同様、登場人物が実に魅力的に描けている。
この人たちをもっと観ていたいという気持ちになってくる。
そして観終わってからも、また彼らに会いたくなる。
それだけでもう良い映画ですよ。
木の上から自然を眺めるシーンは圧巻だった。
ムリなく自然に笑えて泣けるストーリー。
その振り幅は大きくジェットコースタームービー的ですらあるが、あくまで自然だ。
丁寧に張られた伏線と無駄のない回収もお見事。
今年観た邦画では「そこのみにて光輝く」と同じくらい良かったが、好きなのは本作のほうだ。
もしかすると今年の邦画のレベルはかなり高くなるかもしれない予感がする。
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