「スペイン警察緩すぎ問題」ロスト・ボディ ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
スペイン警察緩すぎ問題
なんか容疑者をフリーにし過ぎていませんか?と思わずツッコミまくるゆるゆるスペイン産サスペンス。
大雨の夜、一人の警備員が何かに追われるように森の中を逃げ回り、道路に出たところで車に轢かれ意識不明の重体となる。彼が警備員を務めるのは法医学研究所。
警察がその法医学研究所に向かうと、一人の女性の遺体が無くなっていた。
他は全て壊され、たった一台残った監視カメラには、慌てふためいて逃げ出す警備員の姿が残されていた。
消えた遺体の主はやり手の女性経営者マイカ。彼女の夫アレックスは妻が死んだ直後だというのに不倫をしている女性カルラの家に向かう。
カルラの家に着いたアレックスは一本の電話を受ける。それは妻の遺体が無くなったとの警察からの連絡だった。
導入部からテンポよく大体の人間関係や主要な登場人物が出尽くすので、あとはその謎の真相に頭を使えばいい展開でグイグイ引き込まれる。
割と序盤にマイカの死の真相は分かるし、まあ最初の人物設定見れば誰がどうするやろは大抵目星が付くし、それは舞台装置の一部に過ぎない。でも、その真相が揺らぎ始めるあたりから面白さが加速していく。
法医学研究所に召喚されたアレックスがとにかく自滅ムーブで翻弄されまくり、それにも増してスペイン警察さん達アレックスをフリーにし過ぎて自由自在に動き回る。電話もしまくり、タバコも吸いまくり。いや皆さんタバコは吸い過ぎ。
そして徐々に事件の全貌が明らかになってきて、終盤は一気に事の真相が明らかになっていく中、いよいよお話はクライマックスへ。
まあ若干納得できんところもありつつも、そんなもんなんかなぁとその結末を受け入れようとした時、来ましたよー新たな扉が!
…いや、凄い。
佳作やなかった傑作やったわ。
薄ぼんやりとなんか違和感あるなーと言うところもゴリゴリ回収していって、なんか矛盾ありましたっけと考える暇も与えぬ怒涛のクライマックスで静かに終了。
これはねぇ、凄いですよ。頭が良すぎる人は気がつきそうな気もするけど、なるべくアホの体で臨んでください。
極上の そう来たか~!が楽しめます。
どんでん展開映画として文句なし。そう分かっていた筈なのに完ぺきに楽しめました。