「重厚なドラマの娯楽作」猿の惑星:新世紀(ライジング) 作品に向き合うゆき平さんの映画レビュー(感想・評価)
重厚なドラマの娯楽作
よくありきたりという表現が使われている通り、ストーリーはありきたり。
だけど描き方は久々に濃いドラマのある作品を見ました。
娯楽作品でありながら本当にドラマが濃い。
そして、深い。
特に、猿のコバの部分に関しては「人間への憎しみから学んだ猿」というシーザーが言ったセリフは妙に響いてしまった。
やはり、いじめもそうだが、いじめ側がしたことは忘れても、いじめられる側は忘れないというのと同じ。
コバはそれほど人間を憎んでいる。自分たちの生活が脅かそうとも指導者であるシーザーに反対されても復讐心はどうしても消えない。
つまり、復讐という憎しみは知性を持った猿でも人間となんら変わらない生き物になってしまう。
だから、共存の道を開けなくなってしまう。
これは、ある意味、人間の“世界”を表している作品。
戦争になれば憎しみが産まれて、日本と韓国の関係も同じで韓国の方が強いけど憎しみがある。
だから、昔の世界でもあり、今の世界でもある、実に深い作品と言えるのだ。
と、まあ評論家ぶるような文になってしまったけど、見終わってそんなことを考えさせられたほど深い余韻が残った作品でした。
前作ほどの興奮はなく、スッキリする娯楽作品ではないし、複雑な気持ちで見ることになるかもしれない。
旧シリーズの1作目はもっと深いから越えてない。
だけど、今作は猿を通して、エンタメとして伝えた見事な娯楽作品。
劇場での鑑賞をオススメします。
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