「中途半端」バイオハザード ザ・ファイナル muldsさんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端
過去の作品は全て見た上での感想。
まず、前作からの繋がりが感じられない。
ホワイトハウスに生き残った人間が集まって最後の戦いを繰り広げるという前作のラストから、突然よく分からない場所に登場するアリス。
前作のラストに集ったゲーム版キャラクタは今回全く登場せず、ゲーム版の原作を知っているファンからしたら興ざめだろう。
(申し訳程度にクレアが登場するが、何か役割が与えられているわけではないのでクレアである必然性は無い。多少プロットを変更すれば無名の兵士が同じ役割を担う事も可能)
そして、ウェスカー含め敵側の個人、組織の行動の動機が全く分からない(過去作品でもそうだが)。
味方キャラは「ゾンビから身を守る、アンブレラを倒す」という目標を共有しており単純に見る事ができるが、敵側の動機は不明確すぎるため、イマイチ共感する事ができない。
映画のお約束としてシリーズが長く続くほど、商業的な理由から物語全体での整合性がとれなくなる事は多いが、度を越している。
この作品にある種の歯がゆさを感じるのは、申し訳程度に感情の機微や謎解きのような要素を加えている事だろう。
シュワちゃんのコマンドーのように完全にアクション映画と割り切って一切他の要素を排除した作りにしたら、それはそれで娯楽として割り切れるのだが、中途半端に完成度が低い他の要素を盛り込もうとしている事で妙にその粗が目についてしまう。
恐怖演出はアリスの超人的な身体能力のせいで全く恐怖を感じない。
感情の機微や謎解き要素は整合性の破綻と大味な人物像で台無しになっている。
4DX3Dで恋人と見に行って、終わった後に「迫力すごかったね!」と言う程度の薄い楽しみ方しかできないだろう。
つまり映画として真剣に見るに値しない。