オンリー・ゴッドのレビュー・感想・評価
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映画というより、、、
唖然とさせられる。
何だこれ。
まず終わって率直な感想は「何だこれ」ですよ。
いや、感想って言うか、感想が出て来ないというか、まあそうですね、唖然とします。
笑っちゃうぐらいに変な作品です。寧ろ笑っていいかもしれない。笑うしかないかもしれない。
ひょっとしたら、これコメディだったのかもしれないな、と思わないでもないし、違うのかもしれないし。いや本当何なんですかね。分かんないです。「何だこれ」です。
映画を観ながら険しい顔付きで固唾のんでる経験なんて、まあまずそんなにないことですけども、これまさしくその類の映画です。
面白かったとかつまらなかったとか、そんな範疇から全然外れてます。
あの稀代の珍作「ドライヴ」を撮った監督ですからね、そりゃあ一筋縄ではいかないだろうなってんで、少しは身構えて鑑賞に臨んだんですけどもね。この監督からしたら「ドライヴ」なんて目じゃなかったんですね。全くあれとは次元もレベルも違う珍百景でした。
えー、そうですね。ハッキリ言います。オススメはしません。
感性で観る
こちらのレビューを観て、「ドライヴ」好きな私はある程度覚悟して行ってよかった。心の準備が出来た。
結果的に、映画館で観れて良かったと思えた。目を逸らしたくなるシーンは多々あったし(実際眼鏡外したりした)観てる最中胸糞悪くなったけども。映画館だからこそ最後まで観れたのだと思う。
映像と音楽センスはやはりずば抜けている。カメラアングル、陰影、とても印象的で絵画のよう。音楽は映像にマッチした不気味な不穏感で、この世界に入り込むには充分。
残忍極まりない場面のあとに、すごくシュールなシーンがあったりするバランス感覚も見事。
ラストの音楽がすごく好きだな。
ストーリーは二の次で、考えるより、感じろ!って映画。
ライアン・ゴズリングは寡黙でミステリアスなキャラクター。ドライヴとはまた少し違った魅力があって、相変わらずかっこいい。
観たあともやもやしたりムカムカしたり色々考えたり。そんなことができたらいいんだと思う。
大好きとは言い難くても、忘れられない心に残る映画。
陶酔という言葉が頭に浮かぶ
テレンス・マリックのようなミニマリズムの極まりとデヴィッド・リンチの空気感そしてソナチネの頃の北野武が見せていた芸能と芸術の間をゆれるスリップストリーム性をこの作品から感じる。
ストーリーはシンプルで複数の解釈を観客に委ねてくるような作品ではなく監督の意図がそのまま伝わる。
その代わり余白から様々な信号が脳に飛び込んでくるのでそもそものテーマやディティールが何を暗喩しているのかを解釈しながら絵画に近い観方をすると良いと思う。
なにより映画そのものにに陶酔できる希有な作品に仕上がっている。
神の許し
オススメはしません。
好き嫌いは別として脳を犯される作品でした。
説明的な台詞や描写が省略されているため非常に分かり難い、抽象的な本作。
個人的には(どんなにヘボでも)誰かの解釈や意見を踏まえた上で観た方が楽しめる作品だと思います。
ので、以下に私の内容に対する解釈を。
本作は主人公であるジュリアンの改宗と懺悔、そして救済が描かれています。
支配し搾取する神から、厳正な裁きのみを行う神への改宗。
改宗に伴う罪の懺悔と裁き。
そして、裁きを受けた末の救済。
まず序盤のジュリアンは母であるクリステルに支配/搾取されています。
序盤のジュリアンにとっての神はクリステル。
作中では大人となったジュリアンのみが描かれていますが、母の命令を絶対とし意に沿わない復讐に向かう姿は彼と母の関係性とその強固さを露わにしています。
それは兄であるビリーも同じ関係性であったと推測されます。
ジュリアンとクリステルの会話の中では近親相カンの関係性も仄めかされており。
兄が無力な少女を好みとしている点やジュリアンが不能として描かれている点は彼等が母から性的な搾取を受け歪んでしまった結果と捉えられます。
その結末として兄は或る大きな過ちを犯し殺害。
その復讐を母こと神に命じられるジュリアン。
但し、この時点でジュリアンは命令に違和感を覚えています。
支配/搾取する神に対して不信感を抱いている。
己の倫理観と神の価値観に齟齬が生じている。
対して登場するのが謎の男 チャンという神。
裁判もせず罪人に対して独自かつ厳正なる基準のもと裁きを下す。
現地の住民に怖れ崇められている。
何もない空間から執行用の刀を突如取り出す。
チャンは厳正な裁きを無慈悲に行う神。
罪人の背景や事情に関わらず、犯した罪の重さのみで判断し裁きを与える。
そして何故か裁きを下した後にカラオケに。
この行為の解釈を彼自身の懺悔と捉えるか、罪人に対する鎮魂歌と捉えるかで彼の人間らしさが大分違いますが。
少なくともカラオケでの熱唱が一種の儀式として描かれています。
兄を殺害した犯人を捜す中でチャンに近付いていくジュリアン。
ジュリアンの動きとは別にチャンの殺害を手下に命じるクリステル。
彼等の動きを踏まえて行動を起こすチャン。
或る出来事を経てジュリアンはチャンと直接対決することに。
味わうチャンとの圧倒的な力の差。
ここでは圧倒的な力の前に屈服するジュリアンが描かれています。
その後、再びチャン殺害を母に命じられたジュリアンは。
…という所で終盤に。
終盤の展開は敢えて触れませんが。
これまで薄暗く赤黒い地獄のような背景が続いていた中で終盤の或る場面で一気に色が澄み静寂が訪れる。
その背景がジュリアンの心境、清々しさ、救済を描いていたように感じました。
原始的で濃く暗い色使いや
処刑シーンの「溜めて溜めて溜めて…スパーーンッッ」というスローと超高速の緩急。
そして抽象的な物語。
好き嫌い、良い悪い、は別として。
観ていると脳をグッチャグチャにされ強制的にトランス状態にされる、脳を犯される作品でした。
…鑑賞後、頭の整理が出来ず何となく街を1時間程度徘徊しました。
少なくとも自宅でDVD鑑賞の場合は10分で止めてしまう可能性大。
映画館で強制的に最後まで鑑賞し、強制的に脳をグッチャグチャにする体験を偶にはしてみてもいいのではと思います。
オススメです。
トホホ映画
前作のドライヴが傑作過ぎてハードルが上がってたってものあるが、それを差し引いても今作は駄作だと思う。
まずストーリー上の細かいディテールが雑。説明するシーンが多すぎるのは良くないが、全くというのも良くない。それはカタルシスされるまで、そのディテールが積み重ねられることで放出された時のそれがより大きくなるからだ。事実、前作のドライヴではその様な手法が取られていた。それが今作ではずっとカタルシスの連続みたいな感じでどうしょうもない結果となってしまった。
また、自分がアジア人というのもあるが舞台設定がバンコクってのもハリウッドの真似事してるみたいな感覚がなんか嫌だった。
そして何よりヴァイオレンス映画として致命的な欠点だったのが敵の親玉の迫力が薄いことだ。このキャスティングミスは痛かった。これが本作品を面白くなくしてる一番の根源だと思う。やっぱり役者ってのは演技が大事なのは勿論だが「顔」って重要だなと。全然怖くないんだもの。冷酷なシーンがチープに見えてしまうって終わってる。刀を抜く時の音も安っぽすぎて笑ってしまった。
クソ映画だけど駄作ではない。
レフン監督作、今回のテーマカラーは「赤」
映画の中の暴力のように色濃くもじんわりと爪痕を残す
前作『ドライブ』に引き続きタッグを組んだニコラス・ウィンデリング・レフン監督とライアン・ゴスリングによる哲学チックなバイオレンス映画。
まずこの映画の難解さは主要人物の動機や心情が見えず、悶々としてしまうが、そこは意味がないのかも。
様々なメタファーに思いを巡らすことで数多の解釈をすることが面白いのだから、登場人物の細かな設定や動機なんかはどうでもいいのだ。
たとえば元刑事のチャンは神的なポジションであり、本作における神というのは当然彼のことだろう。罪ある人物には彼が必ず裁きを下す。
しかし、なぜ裁きを行うかがわからないし、思わず笑ってしまうシーンである裁きを下した後のタイ歌謡曲をカラオケで歌う意味もわからない。ただ、彼は超法規的な存在で悪人に裁きを下す。
その行動原則は傷ついた人の代理として復讐を行う絶対的な存在である。
もう一方の神として主人公ジュリアン(ライアン・ゴスリング)の母クリスタルも神として絶対的な存在である。
彼女は旦那が死んでから麻薬組織を仕切っていただけあって、絶対的権力者。相手を支配、統制することが当然と思っている。
それは息子であるジュリアンにも向けられ、トラウマとなっている。
(どうやら近親相姦されていたようで、そのせいでジュリアンは去勢されている。そのせいで母親にたいして愛憎入り交じる複雑な感情を抱いているようだ)
しかし、なんでそんなことをするのかなんてのはわからないし、意味はない。そういうもんなのだ。
主人公ジュリアンは悪や暴力の連鎖の中、善悪に翻弄され、どちらの2人(チャン、ジュリアン)の神の価値観を信じるのか?そして神を信じることで罪から赦されるのか?ということがってのが大筋ですが、そこにどのような意味があるのだろうか?
正直一回観ただけではわからないので、今後も悶々とするのだろう。
個人的にはそれはすごくいいことだと思う。
傷跡として残り、時々痛み、この映画を思い出す。
しかし、監督のインタビューにこの映画のテーマは『人のいうことを聞くな』といっていたのでテーマ自体は単純なのかも。
ちなみに映像はドライブの時同様、いやそれ以上に美しい。
いい感じに酔ったような、ゆったりとした時間感覚の映像はバンコクのあらゆる場所と相性がいい(夜店の路地、赤い部屋とかキャバレーとか)
チェンを始めとしたあらゆる人物の暴力は本当に痛そうだし、フレッシュな暴力表現。ニコラス・ウィンデリング・レフン監督印だろう。
そんでノーカントリーのシガーみたいな超越したチャンを演じたヴィタヤ・パンスガム、美しく狂気を孕んだクリスタル役のクリスティン・スコット・トーマスの怪演ぶりはヤバかった!
うまくまとめられないが、いい映画だった。
裁きと戦いの果てに生まれたものは?
個人的な神のために本当の神に戦いを挑むというだけで個人的にはとても面白く観れました。まぁ当然、本当の神に勝てるわけがないんだけれど、そこから主人公はどうなっていくのか。
ということで、監督自身の思想的部分が物凄い出てるので好き嫌いは別れるのは間違いないと思います。
神の存在に興味がある人だけではなく、母親という存在に対してコンプレックスを抱いている人は主人公の気持ちは痛いほど理解できるはずだし、その主人公がどうなっていくのかを興味深く追っていけるはず。逆にその部分が理解出来ない人はつまらないと感じるのかなと思いました。
でも何より映像で魅せる監督だから、またDVDで観るかって思うくらいの興味があるなら劇場で観た方が絶対に良いということは間違いないと思います。
期待はずれ…
神のみが許す
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