「天才は絶えず進化する」トランスフォーマー ロストエイジ しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
天才は絶えず進化する
マイケル・ベイの最高傑作であり、集大成であった「ダークサイド・ムーン」
そのあとの続編は撮らない、という話を聞いて、うん、撮らなくていいよ、どうせベイじゃないトランスフォーマーなんて観てられないし、と思ってた。
ところが、ベイさん、よそ者がやるぐらいなら、と前言撤回してこの「ロスト・エイジ」に着手。
しかし、資本のことを考えると、ベイ以外に撮らせようとは思えないが。
ただオレの中では、ベイの新作は大歓迎だが、「トランスフォーマー」の新作は正直同じものを見せられるんだろな、という不安しかなかった。
それはそうだ。「ダークサイド・ムーン」を頂点に、似たような「アベンジャーズ」「パシフィック・リム」「ウィンターソルジャー」など、フォロワーともいえる作品群が結構なデキだったので、そのレベルにあればいいな、ぐらいにしか観られないものだ。
まあ、あのド興奮をまた大スクリーンで見られるのであれば、あの至福の時間をまた味わえるのであれば、と足早に。
IMAX3Dで鑑賞。
やはりマイケル・ベイは天才である。
いつもの足元から撮りあげる構図は相変わらず、おもろかっこいいし、相変わらずスリリングなカメラワークのカーアクションはシリーズ必須のもの。
いつものベイの見せ場はきちんとある。これらがなければ、いや、必ずこれらがあるからベイなのだ。
ベイのトランスフォーマーがすごいのは、アクションがすごいから、に他ならない。メカと3Dの相性の良さは今回もバッチリ。それプラス3Dをもっとも効果的に使える監督でもあるのは、前作で証明済み。
その極みは、PJ、デル・トロ、JJ、キャメロン、そしてスピルバーグすら到達していない。
今回も奥行きのある3Dがことごとくアクションとズバリと決まる。この史上最高の3D映画は、史上最高のアクションSFムービーでもある。
それだけでも十分なのだが、今回さらに上下縦のアクションが進化している。ベイの超定番アクションパターン「落下のアクション」に加え、上がる(浮かぶ)アクションを追加してきた。
浮かびいの、そこから落とすっ!
そこにはタメが発生し、いかなるものが落ちてくるか、のスリルと落下時の衝撃をとても映画的に表現している。定番パターンからの進化、とはまさにこのこと。
とにかく、アクションのアイデアが素晴らしいのだ。
前作とのつながりがいささか感じにくく、おチャラケキャラのあっという間の退場、イケメンの活躍、マッチョな主人公の肉弾アクション、など前3部作との踏ん切りもみられるが、求めるものはきちんとある。
ごった煮とか、何でもあり、というより
「純粋に期待したものが、それ以上に出てきた」
それほど今回の作品も素晴らしい。アクションのメリハリ、工夫もあり、ブロンド美女もきっちり活躍する。
反論あろうが、どこもカットできない全編きっちりマイケル・ベイ。全編ずーっとニヤニヤして観てた。
超至福の165分。テレビなんかじゃ絶対味わえない。3Dで、いやできればIMAXで。
ストーリーは読んでいけ。どうせ途中で忘れる。いや忘れていいようにできている。