舞妓はレディのレビュー・感想・評価
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北へ南へ方言紀行
関西人がしばしば東京圏の俳優の関西弁について苦言を呈しているのを見かける。
わたしの地元にも、いちおう方言がある。どこにだって方言はある。メジャーな方言でなければ、人様に真似されることはないし、ドラマにも使われない。
知ってのとおり、日本には地域に暗黙のカーストがある。拡大すると翔んで埼玉のようなコメディになる階級だが、その手の話は昔から腐るほどあった。耳にタコができるほど聞いた。ゆえに地元の「階級」を誰もが知っている。知らない人間はいない。出自の方言をでたらめに扱う人がいたとしても腹立たしくはならないのは「階級」を知っているからだ。出身地を馬鹿にされたとて、つゆほども苦にならない。
マツコは横浜市民が嫌いで、かれらの選民意識──特待とスノビズムに嫌味を言うが、大なり小なり、選民意識というものは、どこにでもある。
京都中枢には、よそ者を人とも思わない、旧弊な人たちがいると聞くし、もっと身近で、地元の自治体にも内輪の結束がある。
2018年末、港区が南青山に児相の建設を計画し、住民の猛反発に遭ったというニュースがあった。その説明会での南青山住人の発言たるや、貧乏人が来るんじゃねえ──という特権階級意識がダダ漏れだった。
他愛もない自尊心、カーストを形成する、翔んで埼玉のような意識の根幹は、レイシズムに他ならない。
単なる差別なのである。
上位都市部の優越がまかりとおり、かつ地方人が進んで自虐に甘んじることで、日本じゅうが麻痺して、笑えない話を笑っているのである。
地域格差は、日本という巨大村で、村人たちが、どんぐりの背比べをしている──と見るべきだろう。
したがって、映画/ドラマ等の演技に、関西弁が下手という半畳を、即座に入れてくる関西人の気持ちは、わたしにはさっぱり解らない。そんな関西人でも、関西弁を使う白人には阿諛してみる。けっきょく選民意識ではなかろうか。
長谷川博己は文学座の出身で、もともと、ハッキリとした演劇風の滑舌に特徴がある。自然な演技というよりは、明確な演技をする人で、言語学者/京野役がしっくりとおさまった。妙に作りものっぽい方言でさえ、自然さよりも正確性を期した言語学者の役どころがdefenseになっていた。
すなわち、彼の演技スタイルと役が、うるさい関西人の追及を逸らしていた。──と思えた。
万寿楽に初めてやってきた春子の一声に、瞑目して「鹿児島?」と言い、PCMレコーダーをガシっとつかんで差し向ける。が、二声に津軽弁を聞いてさらに驚く。
「たのんもんでぇ、あたいも舞妓になるごたぁ、ならねばなんねのさ」
平伏してそう言った春子の言葉遣いに「鹿児島弁と津軽弁のバイリンガル、初めて聞きました」と感嘆する。個人的にはいちばん楽しいシーンだった。
春子の鹿児島弁や津軽弁が、鹿児島県民、青森県民からの品評に遭っただろうか。──そんなことは有り得ない。鹿児島も青森もカーストの上位都市ではないからだ。
愚鈍な田舎者の上白石萌音/春子が、徐々にしゃんとした舞妓になってゆく過程が、よくわかる映画だった。その演技力もさることながら、顔がいい。庶民的で、賢さがみえる。明るく濃く華やかだが、女優風の野心/胸算用が見えない。好感度抜群だが、この後の彼女のキャリアにみる日本の演出家たちの「素材の味を引き出さない度」は、想像を絶するものがあった。
舞妓になるために訛りを矯正する人が大勢いるわけではないし、ほとんどの庶民にとって舞妓もその遊びも生涯、相まみえることのない世界だと思う。お座敷で遊んでみたいかと聞かれたら、むしろ遠慮したい。
──とんでもないわたしらたんなる山猿でございますよ、ジローラモがやってる遊びなんて、とうていむりですわ──
地域カーストが浸透し、田舎者の自覚をもった田舎者が増えたことで、カーストの上位地域の人々は、馬鹿にできる田舎者を失い、優越を発揮できる機会を失ってしまった。
結局、上方の人たちが弄れるのは、東京人の関西弁くらいしかない──わけである。
つまり、田舎者にとって、ぜんぜん知らない世界であることが、この映画の大きな魅力を担っていた。
日本の「一人ハリウッド」周防正行監督のプロダクト格の違いをみせつけた傑作だったと思う。
大原櫻子ちゃんが見たくてこの映画を見たのですが、気づいたら上白石萌...
大原櫻子ちゃんが見たくてこの映画を見たのですが、気づいたら上白石萌音ちゃんのファンになってました。長谷川さんもかっこよかった!
上白石萌音の努力と才能を感じさせる作品!
ひどい訛りを持つ少女が舞妓に憧れて舞妓の世界に飛び込み舞妓になるための稽古や修行をユーモラスなミュージカルを織り込みながら展開する作品。
まずひどい地方訛りから京言葉を習得する過程での演技が見どころ。
田舎娘そのものの芋っぽいところなど上白石萌音さんの素材がピッタリ!
ただ、単なる芋姉ちゃんではなく舞妓になるんだ!
と云う強い意志が目の表情やちょっとした仕草に現れてこの作品の主人公にピッタリでした。
言葉を学ぶ過程や踊りを習う姿、また頻繁に出てくるミュージカルなど様々なシーンをピッタリに演じているのはただただビックリです。
彼女の素朴なとこなど好きな女優さんです。
出演者の中でその後めざましい活躍をする(まんぷく、麒麟がくる)長谷川博己さんの演技、特に方言研究者として方言を操るとこなどいい演技でした。
勿論他の役者さんもミュージカルシーン可笑しくて楽しかったです。
今回はDVDでの鑑賞でしたが、映画館での上映期間中に観たかった作品でした。
もっと興行収入が高くてよい作品なのではと思います。
【周防監督、京都の花街を舞台にコメディ作品を描く。上白石萌音の初出演作で、和風ミュージカルの佳品。】
京都の花街の実在の名前を微妙に変えて舞台に。”上七軒→下七軒”
京都の花街に通い始めた頃に観たので、お茶屋も含めてどれだけきちんと描いているかにも興味を持ちつつ、鑑賞。
架空の花街を再現したセットも”セットぽくて”宜しい。
劇中、披露されるミュージカル・ナンバーも
・”男衆の歌” 竹中直人の低音が響き渡る、宜しい。
・”京都盆地に雨が降る” とても、良い。
・”その糸はなぜ赤なの?” 小日向さんの都都逸の入りも宜しい。
・”舞妓はレディ” メイン・テーマ 上白石萌音さんの綺麗な歌声が良い。
今作はタイトルも含めて、”マイ・フェア・レディ”を意識して制作されているのは直ぐに分かるが(誰でも分かる)、和風ミュージカルとして、エンターテインメント作品としてきちんと成り立っていた。
<取り分け、近作の邦画では予算の関係上余り観られない”ほぼ”オールセットで撮影した周防正行監督の拘りが感じられて良かった。美術の方々の奮闘ぶりも嬉しい。>
<2014年9月13日 劇場にて鑑賞>
上白石萌音の歌声にぐっとくる
舞妓になりたいと花街にやってきた、鹿児島弁×津軽弁という方言ハイブリッドの春子。
方言学者の先生とともにまず話す言葉を京都弁に矯正するところから始まる。
おどおどと返事もできずに頷くだけだった春子が歌い踊り、舞妓としての立ち振る舞いなどを身につけ成長していくストーリー。
上白石萌音の歌声が爆発する瞬間に鳥肌が立つ。ここからさまざまな映画に出て行く上白石萌音の、初々しさがまぶしい。
歌うことが好きなんだなぁとわかる、全身で歌うことを表現している姿にグッとくる。
脇を固める俳優もベテラン勢ばかりだが、
特に草刈民代の歌とダンスはさすが、色気と艶やかさ、なめらかな動きに見ていて安定感がある。
ストーリー的には、トラブルは起きるのに解決方法が意外とテキトーな感じだったり、メリハリがないなーと思ったり、なめらかな話展開になってないところもあって、
エンターテイメント性を出してる割にはミュージカル過ぎたり、ミュージカルに寄せ切れていなかったりする中途半端なところもあるなと感じた。
最後のキレキレのダンスと告白はちょっと蛇足かも。
とてもよかった
着物や京都、舞妓や芸者など全く興味がないどころかむしろお高い感じが嫌いですらあるのだが、周防監督作品なので見た。
すると、とても楽しかった。嫌いな題材なのにも関わらず、主人公を応援したくなって楽しい気分を味合わせる監督の剛腕ぶりに驚いた。
舞妓さんになるための、修行物語。
「舞妓Haaaan!!」(2004年)と区別がついてませんでした。
あら、私の大好きな上白石萌音さんが主演とあれば見なくては。
鹿児島弁+津軽弁のもっさりした田舎娘の主人公・春子が。
お茶屋の掃除・踊り・三味線・唄・鼓。
それぞれを先生についてみっちり仕込まれていく様が(この先生役が、彦摩呂さん等チョイ役豪華)。
「あちゃー」から、日々練習していていく姿が。応援したくなります。
そして何より「京ことば」。なんて難しいんでしょう!。
「おおきに・すんません・おたのもうします」の舞妓必須三単語。
大学教授で言語学者・京野(長谷川博己さん、めっちゃかっこいい!)と、研究も兼ねた二人三脚で学んでいく姿。
言葉は生活の中で使ってなんぼって、なるほどねー。
そうじゃないと、ふとした時に出ちゃうんですよね。訛りって。
途中大きな壁にぶつかりながらも、乗り越えようとする春子。
彼女の成長物語でもありました。
周防監督作品とあって、まあ役者さんがなんともなまあ豪華。
中でもお茶屋さんのお母さん役の富司純子さん。
和服の所作等も素晴らしかったのですが。悩む春子に話しかける一人芝居は、もう脱帽でした。
で、これミュージカル仕立ての和製「マイ・フェア・レディ」(観ていない)。知らずに見るといきなりの歌でびっくりするけど。
洋楽風だけど京都のセットに、はんなり合う音楽たちになってました。種ともこさんや、パパイヤ鈴木さんの名前がエンドロールにありましたよ。
気楽に見れてちょい、ほろり。あっという間の136分でした。
アイドルの原典か
濱田岳は、水商売と変わらないと言い、
しかし岸部一徳は、その頑張りに春を見ると言う。
日本は男女平等という意味では後進国と言われる。
それはこういう歴史や文化が遠因にあるとも思うけど、
しかしそれを後進国と切って捨てる価値観が必ずしも正しいだろうか。
素敵なミュージカルというだけでなく、考えさせられる。
綺麗やった!
最初は落語を舞台でミュージカルした感じと思って見るの途中でやめよかなと思ったけど
舞妓とか芸妓の映画って、花街などの綺麗さをどう表現するかがストーリーなどよりも1番大切やと思います
もちろん見た目も含めて
その点は上手く出来た映画かなと
まぁ京文化や歴史が好きなんで採点は甘めになってるかもやけど
でもミュージカル映画にする意味あったんかなとも思う
正直じゃまじゃない?
主人公の歌は良かったけど、それだけで十分やったような気がする
和風ミュージカル
周防監督作品ということで映画館に足を運ぶ。ミュージカルとして完成度が高い。初主演とは思えない上白石萌音さんの高いパフォーマンスを感じた。脇を固める周防作品定番のキャスト達も豪華。一見の価値有です。
楽しくないミュージカル!!
スポコンものは、そのスポーツに興味がなくても楽しめますが、舞妓修行が厳しくても楽しいという気分にはなれず、苦しいです。コメディという訳でもなくテンポも悪く、主人公の境遇のようになかなか肩の力を抜いて観る事ができない上に、突然歌が始まり、地味になりすぎない為に入れてみました的な無理矢理感に度肝を抜かれます。しかし、それも行儀良く聴かないとという気持ちが働いてしまうので楽しくなく、これは企画の出だしから失敗しているのではないでしょうか。主演の二人は芸達者ですが、制作者に面白味がなくて新しい伝え方にはならなかったと思います。監督の奥さんも寒すぎますし、これは例えばフラガールの監督に発注すれば良かったのではないでしょうか。
少し長め?
ストーリーが少し長いのかな??
途中そんな気がしました。
しかし、キャストが豪華で驚き。
初々しさがある主演さんと、コメディが織り交ぜられたストーリーで、ほっこりします。
ただ、隣で寝てる人がいたので
つまらないと感じる人はいるのかも。
ヒューマンコメディっぽいのが苦手な人は、どうだろう?
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