劇場公開日 2013年6月14日

「ホラーからアクションへ―。ハリウッドの教科書大作」エイリアン2 完全版 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ホラーからアクションへ―。ハリウッドの教科書大作

2024年9月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

リドリー・スコット監督の打ち出した1作目は完全なホラーだった。元々"宇宙が舞台のホラー映画"という形で企画が始まったのだが、あちらはSFホラーとして君臨し続けている。
それをがらりと方向転換して戦争アクションへと変貌させたのが、低予算ながら口コミで話題沸騰となった「ターミネーター」のジェームズ・キャメロン監督である。後に全世界興行収入トップに躍り出る「AVATAR/アバター」の監督である。世界観がまるっきり違う様にも思えてしまうが、それが良くも悪くも途中で監督が変ったシリーズものの宿命なのだろう。だが、本作に関しては良い方向に進んだのではないか。ジェームズ・キャメロンならではの様々なガジェットが多く登場し、SF心をくすぐるネタが豊富である。監督のお気に入り俳優、ランス・ヘンリクセンがアンドロイドのビショップ役で登場し、すっかりイメージが定着した様に思えるが、実は「ターミネーター」にも刑事役で出演した彼だが、元々T-800を演じる予定だった俳優だ。その後は誰もが知るアーノルド・シュワルツェネッガーがその役を受けたが、そのイメージで監督がアンドロイド役で呼び戻したという逸話がある。劇場公開版が138分、完全版が155分という、当時の「映画は短く」の概念をかなぐり捨てた長尺でVSエイリアンを描いている。それでもダレる事なく勇敢な兵士達には興奮でき、その屈強な男たちをたやすく殺害するエイリアンはやはり圧倒的に強く、完全生物だと痛感させられる。
本作の目玉キャラでエイリアン・クイーンが登場するが、リプリーの乗るローダーとクイーンとの対決は鳥肌が立つ名シーンだ。また、クイーンを除いて成体のゼノモーフが多数登場するのだが、1体でノストロモ号の船員をほとんど全滅させた前作の個体と比べると沢山出てくる為か1体1体の強さをあまり感じることが出来ない。だがその分集団で襲い来るという怖さと、施設の電源を落としたり、エレベーターを利用したりなどの賢さの部分がより際立ってきた印象だ。この賢さがリプリー含め隊員らを追い詰めて行く事になる。

パート2は失敗したりなどのリスクも伴うが、そういう意味でも本作は大成功を収めている歴史的作品である。物語の展開等も含めて、本作はSF映画の教科書的な位置付けの作品だ。

Mina