「すごく面白い」偽りの人生 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
すごく面白い
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瓜二つの双子でも親しい人には簡単に見抜かれてしまう。しかしだからといってそこで騒ぎにならず、その先でドラマが展開するところがリアルでよかった。喫煙者じゃないのに、無理してタバコを吸ったりゲホゲホ咳をしたりといった小芝居が大変そうだった。
川やボートの生活がすごく感じがよかった。しかし、田舎ならではの閉塞感もあり、うんざりすることも多そうだった。子供の頃に弱虫の烙印を押されたら一生消えないのも怖い。
解説でやっとアルゼンチンが舞台であることが分かったが、見ている最中はずっとスペインだと思っていた。
焚火でとなりのお婆さんに「お前は嘘つきのお尋ね者だ」と言われる場面は怖かった。
もし自分がその立場だったらと考えるのだが、嘘をついて入れ替わった時点でそれまで築いていたものを放棄しなければならず、かと言って入れ替わった相手の人生をそのまま継承するのも無理だ。そこから人生を築いていくのは、若ければできるかもしれないけど、40代も半ばを過ぎようとしている今では、完全に無理だとしか思えない。それこそ山か海にアパートを借りて、ひっそりと釣りをしながらわずかな稼ぎで貧しく暮らすしかない。どう考えても楽しくはなさそうだ。
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