東京難民のレビュー・感想・評価
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堕ちても終わりじゃない
これが佐々部清監督作とは驚いた。
とにかく、重く、苦しく、後味悪く、嫌な気持ちにさせられる。
間違ってもこれまでの佐々部作品のような人情味のある感動作を期待すると“どん底”を見る。
いい加減な大学生活を送っていた修。
その終わりは突然に。
父親が借金作って失踪、それによって学費が随分前から未納で除籍処分に。
ここから始まる修の転落人生。
アパートを追い出される。
ネットカフェ難民になる。
日雇いのバイトを探す。
警察に職質される。逮捕される。
街で声をかけられた女に連れて行かれたホストクラブで騙され、高額の支払いを要求される。
そのホストクラブで働かせて貰う。
…そして最後はホームレスになる…。
ネットカフェ難民、日雇いバイト、ホストの世界、貧困ビジネスと言った日の当たらない社会の暗部の実態。
格差社会、組織権力、そして金、金、金の社会の不条理。
主人公の転落人生を通して、それらを非情にあぶり出す。
主人公を見舞う不幸の連続は映画的展開でもある。が、
人間、何をやっても上手くいかない時はとことん上手くいかない。
人間、堕ちる時はとことん堕ちる所まで堕ちる。
少なからず自分も経験した事あったので骨身に染みた。
修の転落人生の中で、ホストクラブ時代は得るものもあった。
友と呼べる存在も出来た。
看護師の茜が自分指名の常連客となり、相思相愛に。
この茜は一見ピュアで清楚な女性に見えるが、ホスト通いで借金を作り、男に貢ぐ哀しい女。
結局は“恋愛”も金で得たもの。
ある金のトラブルで友が非常にヤバい事態に。
金以上のものの為に修が取った行動に救われた思いがした。
幾ら金があって無情な人間になるより、情に流される負け犬のままでいい。
社会の底辺で喘ぐ人々。
人生の負け犬と見下される。
終わったような自分の人生。
でも、
堕ちて堕ちて、堕ちる所まで堕ちた時、改めて気付く。
人生、まだ終わりじゃない。
決して好感を持てる人物像ではないが、次第に共感せずにいられない修役の中村蒼もさることながら、大塚千弘。
ヌードや大胆な濡れ場も披露し、妙にエロい。
彼女が長澤まさみの片割れの小美人とは気付かなかった!
奇跡のワンシーンが映画の価値を決める
学費滞納で大学を除籍になり、家賃未納でアパートから追い出された際に持ち物は全て没収され、着の身着のまま新宿の街に放り出された時枝修(中村蒼)。
1泊1,500円のネットカフェに泊まり、日雇いのティッシュ配りや治験のアルバイトで食いつないでいたが、ある日受けた職質で警官から屈辱的な扱いを受け、自分の現状に絶望する。
そんなときに知らない女に飲みに誘われ、奢りだと思ってついて行ったホストクラブで酔い潰れていた隙に女はトンズラ。
莫大な飲み代を支払うためその店で働くことになるが、情を捨てきれない性格の修は、ツケを払えなくなった客と従業員の逃亡を手伝って自身も店側から追われる身になってしまう。
地方の建設会社の寮でひっそりと暮らしていたが、やがて店に居場所がバレてボコボコにされ、記憶喪失になってホームレス生活を余儀なくされる。
「自分はもう終わっているーーー」
何もかも失った修は、社会の底辺から這い上がることができるのか。
ほんのちょっとしたきっかけで、誰もが飲み込まれ得る格差社会の闇。
底辺の人間を救済するようでいて、一度入ってしまえば簡単には抜け出せない貧困ビジネスのカラクリ。
無知であることって、楽だしある意味強いけど、そのまま大人になっちゃうのは本当に怖いよね。
あとはあの、「大学を除籍になってからたったの半年で人間そこまでいくか」っていうスピード感が堕ちていく人間を見ている側の絶望を加速させるようで、すごく秀逸でした。
でもさ、なんで青柳翔が中国でヤクの売人をする羽目になり、茜さんは風俗に売り飛ばされたのに、諸悪の根源であるルイは田舎でのっそり暮らしてるの?
まじ不快なんですけどー
でもその不快感が何よりもリアル。
説明つかない理不尽な現象だらけなんだよねきっと世の中ってさ。
そう考えると、私はまごうことなく幸せだ。
でもさでもさ。
青柳翔の銀髪ホスト姿には爆笑!
なにあのダメージジーンズの似合わなさ・・・!!!笑
最初全然誰だかわかんなかった。
中村蒼はほんとにいい役者さんだなぁ。
「BECK」のドラマーが今やホームレスか・・・とかカオスな感慨に浸るなど。
こないだのMステを見たとき、「FOREVER LOVE」という一曲にはX JAPANというバンドをこれからも永遠に存続させるだけの価値がある、と確信したんだ。
この映画も、茜と再会した修の、
「生きていてもいいですか?」
っていうセリフだけで、観る価値はあったな、と思った。
あれは本当に心にグッとくるいいシーンだった。
チャらく生きていた大学生が、突然親からの仕送りがなくなり家賃も払え...
チャらく生きていた大学生が、突然親からの仕送りがなくなり家賃も払えず家も大学も追い出され、漫画喫茶で日雇いバイトをしながら暮らすも、ある縁でホストとなり、太客を見つけるが仲間との縁で逃げ出すことに、建設会社で住み込みで働くが見つかり引き戻されボコボコにされてホームレスになる、という話。
ホームレスになって、人の縁がようやく染みてくるわけです。かつての太客がソープ嬢になっていたり。
貧困ビジネスって言葉が出てきてましたが、まさにそういう人たちがなんとなく貧困のまま生きていける世の中、っていうのがよくわかります。
ただ、身勝手です。
ホスト仲間の縁が一番深く描かれてましたが、結局ソープ嬢に転落した太客ナースが一番かわいそうですよ。男にたかってた女の子はちゃっかり実家で平和に暮らしてるし。
厳しさと温かさが、どこも中途半端かなっていう感覚です。金子ノブアキも甘いっちゃ甘いですよね。
実際の方がもっとシビアなのでは。
映像も演出も演技も特筆すべきものはなく、よくある日本映画、テーマはおもしろい、という感じ。
誰もが陥るお話
このお話では感情移入をしてしまうことはなかったですが、ごく普通の主人公が転落してしまうリアルさがよかったです。
ストーリーに不自然さもなくラストまで違和感なく観ることができました。
中村蒼さんはかわいく、大塚千弘さんと金子さんの演技も素晴らしくよかったです。
生きることとは、生きがいとは?と問われましたが、最後はやはり命あってこそとうたっていました。
東北大震災を引き合いに出されたら日本人なら命の大切さを選択します。
貧富の差があっても日本中の人々が同じ心の傷を作ったのはあの時だったと思います。
面白い
久々にかなり面白かった。内容としてはよくある感じだけど、意外と自分も一歩間違えてたらこうなってたかもなぁだったり、こうなるかもなと思わせるリアル感があった。大塚千弘という女優を初めて知ったけど凄い良かった。
フンコロガシ(糞転がし)が、一番、働き者なんだよ
映画「東京難民」(佐々部清監督)から。
もっと悲惨な若者像をイメージしていたので、
ホストクラブの裏側をみせながらも、あまり逼迫した
「難民」という単語に相当した展開がなかった気がする。
辞書によると「難民」とは、
戦争、天災、政治的圧迫等により、生活の根拠に奪われ、
多くは集団で他の地方や国家に救済を求めて避難する者をいう。
だから、もっともっと多くの人たちが、生活に困窮し、
路頭に迷うシーンが散りばめられていると、勘違いしてしまった。
そんな中、印象に残ったのは、日雇い労働者の生活と会話。
住み込みの部屋に案内される途中、張られていた看板には、
「人生、逃げるが 負け!」(可笑しくて慌ててメモをした)
また「あの人たちは、技術じゃなくて『会社』という
居場所を持っている人たちだよ。それがね、一番、強いんだよ」
「一番悪いのは、一度でも失敗したら立ち直れない社会の仕組みだよ。
仕組みってのは強い連中のためのものだから、変わらないんだなぁ」
「でも一番辛かったのは、何もすることがないってこと」など、
日雇い労働者のボヤキは、なぜか悲壮感を感じなかった。
「フンコロガシ(糞転がし)が、一番、働き者なんだよ」という気概は、
俺たちは逃げてないぞ、という意気込みさえ感じた。
裏のある派手なホストの世界より、苦しいけれどコツコツと働く、
ホームレスの人たちにも、拍手を送りたい。
クソ生意気なガキの話。
「東京難民」、面白いです。
本当は手放しで賞賛したいが、気になる点がないわけではないので、−0.5点とします。特に私は、主人公ほど悲惨ではないが、楽しくて安定した生活を一瞬にして失った事があるので、感情移入ができて、自分もこのような目に合うのを想像しながら見ることができた。
ちょっと気になる点は、最初はチャラチャラしていた主人公が、どこからか分からないけど、急に他人思いのイイ奴になる。ここ、序盤に不動産屋に暴言を吐くとか、歩きタバコをプカプカ蒸すとか、クソ野郎具合を見せてるし、チャラい学生時代を回想でしっかり見せてる割に、あっさりイイ人と言うか律儀な若者に変わる。ホストに勤めて人の醜い部分、学生時代は知らなかった社会の不条理を知ってしまったから心変わりしたのだろうが、もうちょっと説明が欲しいし、何より変わり様が急激すぎる。少し残念。
難民感もあまり感じない。ホストになるまでの悲惨さはすごく丁寧にリアル描かれてると思うけど、ホストになってからはただのホスト映画に成り下がってしまう。売上至上主義的な先輩方に反目して、自分のペースや流儀で使命を取るようになる。こーゆー流れって、ホストを題材にしたドラマでは定番すぎる展開だし、ここに割く時間が以上に長い。その後のホームレス生活が意外とあっさり片付けられがちなので、もう少しペース配分を考えてほしいなと思った。しかし、ホスト周りの演技はどれも素晴らしいと感じた。特に大塚千弘さんは、最初はウブな女で徐々にビッチ感を出すけど、その容姿の変化に頼らずとも表情やセリフで演技を語れる、素晴らしい女優さんだと気づかされた。あとすげー可愛いし。金子ノブアキさんも良かった。だって怖いし。主人公に散髪代と服代を渡して、「前貸だよ」的なセリフがあるけど、この一言がとても重いし重要だった、秀逸な脚本。お見事という他ない。
あとは、結構友達たちと楽しんでた風な大学生活。急に大学を辞めるという劇的な流れがあるんだから、大学時代の友人と絡むようなシーンがあれば、より主人公が悲惨で可哀想という面が強調されると思うので、そーゆーシーンが個人的には欲しかった。
細かい揚げ足取りしてすいません。
粗を挙げるより、良い部分をあげた方が多いと思うのですが、それはあえて言いません。この映画の1番素晴らしい所はドキュメンタリーのようにリアルで、単純にこの主人公がどうなってしまうのかと気になって、あっという間に2時間を駆け抜けてしまいました。現代の若者が持つ可能性の両面を考える事ができる、素晴らしい作品です。
暗い中での希望
誰にでも起こりそうなリアルな話だったので、怖かったです。しかし怖いだけではなく、かんがえさせられるし、人の温かさも感じられる作品だと思います。高橋優さんの曲がかかった時、よく作品と合っていて絶望の中でも希望が見えて思わず涙してしまいました。とても良かったです。
大塚千弘さん良かったです。
題名が興味を引きました。
予想通りとゆうか予想外に面白かったです。
特に最後の方で主人公が茜の勤める風俗店で謝った後、抱き合った瞬間何故だか泣けました。
主人公がイケメン過ぎてリアル感に欠けたのが少々残念でした。
一人でも多くの人に観て欲しい
この映画を観に行くきっかけとなったのは、私の好きな街である東京の街を見たいというだけの軽い気持ちだったのですが、この映画は、生きるとは、また、人生にとって、何が一番大切なことなのか、といった根源的な事柄を考えさせられるとても素晴らしい映画でした。この映画は、ある面、我々にいきなり訪れるかもしれない「貧困」という問題を切実に感じさせてくれました。遠い世界の出来事では、ないと思いました。主人公を演じた優男である「中村蒼」さん、および、清楚な女性が堕ちていく様子を演じた「大塚千弘」さんの持つ雰囲気がこの映画の役にぴったりとはまっていました。特に、大塚さんの演じる女性の「優しさ」「ぬくもり」「あたたかさ」には、しびれ涙してしまいました。一人でも多くの人にこの映画を観て欲しいと思っています。もっと多くの映画館で上映してほしいです。この映画を観ると、温かい布団で寝られることの幸せを噛みしめることができます。この映画については、是非、続編を作成していただきたいです。ありがとうございました。
100円の有り難み
私たちが、築いた気になっている金銭的な豊かさなんて、いかに脆いものか。主人公の転落のきっかけは、そもそも母の死にあるが、そんなことは人間誰もが経験する出来事に過ぎない。自分を取り巻いている当たり前だと思っている世界は、当たり前でもなんでもなく、こんなにも呆気なく崩壊しうることに改めて気付かされた。
辛い現実の物語だが、一方で貧しいホームレスの人たちとのシーンは、主人公のみならず、映画を見る者にも安らぎを与える。
物質にしがみついている現代人には、本当に大切なものは見えにくい。100円の餞別も、全てを失った主人公だからこそ感じ得る有り難みだろう。
タイトルとあおりだけ見て期待しすぎた感
あー。
思っていたのとずいぶん違った。タイトルとあおりだけ見て期待しすぎた感。
もっとドキュメンタリーかと思っていたら、落ちるまでだけ。
途中からはホストが出たりソープが出たりの非現実、仮に現実にあったとしてもかなりマイノリティの物語ではないですかね。
大塚千弘は好みなんだが、役の気持ちの流れもわからぬし、脱ぎ損じゃなかったかなぁ。
どうせなら、山本美月をもっとおつむの弱い/知的障害にしてソープに入れた方が、格差社会の現実に即していたと思うわけです。
自分の内部的には問題提起があって得るものがなかったわけではなく、
多少の不満はあったとしても、みんな今がまだ幸せな方であることに気付くべきだし、
今がいつまでも続くわけではない(悪い方になる)ことを覚悟しておくべきだ。ということを考えさせられました。
ひとまず、みんな、タバコはやめろ。パチンコはほどほどに。w
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