劇場公開日 2013年5月25日

「言葉。電車。感情。」親密さ andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0言葉。電車。感情。

2018年11月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

秩序立ったレビューはとても書けそうにない。恐ろしいほど言葉に詰められ、言葉に揺らされ、そして電車に揺られ続ける。ただひたすらに全てに問い詰められる255分。という感じだった。
最後の最後に至るまで画面にも台詞にも一切の弛緩がない。私たちの生きるこの現代とはほんの少し異なった世界線を、しかしそれを中心に据えることはなく、ただただその存在だけを放って物語は進む。
断絶の後に上演される舞台劇「親密さ」を超えて、あのラスト。断絶前の夜明けの対話。長い物語を観たというだけではない、とてつもない疲労を感じる。それはつまらないとか面白くないの疲労ではなくて、観る者に対してひたすらに詰めてくる、それに対抗するための疲労感だ。
それにしても多分濱口監督は電車の使い方日本一上手いと思う。すごく適当に言った。まあ電車の使い方だけではない。全ての使い方が不器用に見せかけた巧みさに満ちている。観てるこっちがいつか追いつけなくなったらどうしよう、とふと思った。いや置いていかれる作品を作って欲しいという気持ちもあるのだけれど。

andhyphen