「女優はいい。男優は影が薄い。」パッション マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
女優はいい。男優は影が薄い。
舞台は国際的な広告会社のベルリン支社。重役で支社長のクリスティーンは野心家で、ずる賢く、意に背く相手はとことん引きずり下ろす。すべてが手に入らないと気がすまない女だ。レイチェル・マクアダムスが、それなりに頑張ってイヤな女を懸命に演じている。
クリスティーンの下で働くイザベルは、才能があるが、上司にアイデアを横取りされたうえ、徹底的に踏みにじられる。耐えられずにクリスティーンに対する殺意を抱いていく心の動きをノオミ・ラパスがしっかり表現。こちらはさすがの演技。
この作品、二人の女の対決ではあるが、ここにもう一人の女が登場する。イザベルの助手のダニだ。黒にブロンドに赤毛が加わるわけだ。ダニを演じるのはドイツの女優カロリーネ・ヘルフルト。ダニはイザベルに心酔していて、事件への関与を匂わせるのだが、たいしてややこしくはならない。話は悪くないが、演出が蛋白で平坦だ。
中盤までは、パワハラと、それに耐える部下という構図がはっきりしていて話に乗りやすいのだが、後半、とくに終盤はイザベルの悪夢を絡めたうえに時系列が入り乱れて、何をやっているのか判らなくなる。
バレエとのマルチ画面も、ついつい綺麗なバレリーナの方に目がいってしまい、鬱陶しい。
サスペンスとしてはともかく、ミステリーに関しては、事件の真相がしっかり伝わってこない。
デ・パルマ監督がこの作品に課した真意が分からない。勝手に答えを導けということか?
ということであれば、あれだけしたたかな女であれば、ひじょうに近い身内を故意に犠牲にしていてもおかしくないと考える。
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