しわのレビュー・感想・評価
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財布と時計が消えた理由
ミゲルがエミリオの財布と時計を盗んだと勘違いしてる人がいたので私の推察を残します。
盗んでいない根拠は2点
1.ミゲルがホントに盗んでいたとすれば、金と薬の入った箱に盗品を入れているはず。
2.エミリオの無くなった財布と時計は、ミゲルが薬を飲んでしまおうとしてぶち撒けた結果たまたまベッド下を覗き込んで見つけたもの。
すなわち、ボケかかった老人をカモにして金をとるミゲルの行動に不信感を募らせたエミリオ。
財布を無造作に置いては取られると思った。
ここからは映像描写はないが、ミゲルに財布を取られまいと思ったエミリオは靴下に財布を入れてベッドの下に挟んで守ろうとする。
そして、アルツハイマーにより隠したことすら忘れてしまう。(そして忘れたから映像描写がない)
目覚めて財布が無いから、エミリオは盗んだなとミゲルを疑う。時計も同様にして隠したのを忘れてしまう。
ミゲルは、時計と財布を見つけ、そもそもエミリオが自分に不信感を抱いたのは、老人たちをカモした自らの行いのせいだと気付き後悔し涙する。
心を入れ替えたミゲルは善行を行う。
この悲しいすれ違いが切ない。そういうシーンだったと思われます。
重いテーマですが、アニメのおかげで必要以上に自分に投影することもなく、考えることができます。
老人の処遇をめぐる問題とは現代社会特有の問題だというミゲルの指摘には
蒙を啓かされました。
科学技術が発達した現代社会は効率的で便利な世の中ですが、
それに反することは社会の役に立たないとする価値観が
付いてくるようになったのではないでしょうか。
そんな価値観では、
老人は「役に立たない」となるでしょう。
また自分が老人になったときに
周囲に迷惑をかけたくないと考えてしまうかも知れません。
そこで、老人を現代社会から切り離しておく
施設が必要になったのかも知れません。
江戸時代などの昔には
少なくともそこまで露骨に老人を隔離するような
思想はなかったように思えます。
このプロットは、
実写であればただ重苦しい印象を与えただけなのではと思いました。
アニメでの表現だから、まだ少しは客観的に、
高齢化社会の問題について意識させることができたのだと思いました。
ひとつだけ気になったのは、
老人介護施設が悪の組織のように受け取れてしまったことです。
現代社会が生み出した象徴、というスタンスだからかも知れませんが。
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