劇場公開日 2014年10月24日

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「ストロンガー・ザン・フィクション」ヘラクレス 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ストロンガー・ザン・フィクション

2014年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

興奮

ロック様ことドウェイン・ジョンソン主演の
スペクタクルアクションということで、
『スコーピオンキング』みたいに脳ミソまで筋肉な
ド単純B級アクション映画かとタカを括っていたが、
(↑謝れ)
「なにコレ思ってたよりずっと面白えじゃん!」と
鑑賞後ホクホクした気分になれました。

まず鑑賞前の注意。
予告編で巨大イノシシやらヒュドラやらが登場
しているので勘違いされてる方も多いと思うが、
本作は『タイタンの戦い』みたいな神話世界の
モンスターをバッタバッタと薙ぎ倒すアクション映画
ではないのでご注意を。
あれは回想シーンくらいの扱いだと思っててください。
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予告編の『その男、偽りの伝説か。真の勇者か。』
というキャッチコピーこそがミソ。
主人公ヘラクレスさんは確かに並の人間と比較すれば
ムチャクチャ強い傭兵なのだが、本人は神話の怪物と
戦った覚えなんて無いし、ワンマン・アーミーかと
思いきや傭兵仲間が5人もいたりする。

彼はウワサに尾ヒレが付いて仮面ライダーかチャック・
ノリスみたいな無敵超人と思われているだけで、
実際はあるトラウマに苦しむ心優しい普通の人なのよ。
(まあ“普通の人”は、馬を投げ飛ばしたりしないけど)
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そんな彼が、侵略の危機に陥った国に雇われて大暴れ !
他の仲間たちもナイフ、槍、弓、斧とそれぞれの
得意技でバッタバッタと敵を薙ぎ倒す。
特に中盤、廃村での一大バトルは、敵の奇抜な戦法や
味方の秘密兵器なども飛び出してかなりの面白さ!

仲間たちもみんな個性的でユーモラス。全員は書かないが、
野生児テュデウスには泣かされたし、
予言者アムピアラオスには笑わされた
(「おい、それ俺の運命だぞ」)。
かなり中途半端な当たり方するんよね、この人の予言。
けど、ヘラクレスを奮起させる終盤の言葉はカッコいい。
美味しいトコ持ってくキャラだよなあ(笑) 。
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で、ここまで書いたような戦闘シーンとユーモアだけなら
普通のスペクタクルアクションと大差は無い。しかし
この映画がひと味違うのはヘラクレスを苛むトラウマ、
そして終盤でのひとヒネリの面白さ。

強すぎる彼は図らずも己の伝説を築き上げたが、
その伝説によって彼は謀略に巻き込まれ、
生き方をがんじがらめにされてしまった。

ヘラクレスが最後に対決するのは結局のところ、
神話の怪物でも無ければ無数の軍隊でも無い。
彼は、彼自身が築き上げてきた伝説と戦っていた。
伝説に縛られた己の運命を変えようとして。

過去と決別するため、次の伝説を作り出すため、
ヘラクレスが踏ん張るラストは猛烈に熱い。
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上映時間は 99分と、この規模の作品にしては短い方だが、
戦闘シーンの迫力、魅力的なキャラ、物語展開の面白さ
など内容は濃密。見応え十分の秀作!だと思います。

<2014.10.27鑑賞>

浮遊きびなご