「アレは?」インターステラー しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
アレは?
もっとめんどくさい映画かと思ったら、意外とパロディ、じゃなくってオマージュ満載で楽しかった。
これ見て、どっから高尚で難解という感想が出るのか教えてほしいぐらいだ。
「2001年宇宙の旅」とか知ったげなことを言う前に、なにはさておき、途中まで本気で「アルマゲドン」やってくれてるから、うれしくなる。
マコノヒーが出ているから、ではないが、宇宙空間の美しさは「コンタクト」を思い出すし、クライマックスの八方ふさがり、からの、はまさにそれだし、ある意味「宇宙」と言える深海ものの「アビス」も思い出される。
だが、本作の一番のキモは、「コンタクト」や「アビス」と違って、いつものアレが出てこないという点。
(まあ、「コンタクト」の場合は、いつものアレ、とは言わないかもしれないが)
あくまで、父娘の愛、人間愛の可能性の映画に落とし込んでいる点は特に評価したい。
ただし、序盤の見せ方がああ、このためだったんだ、となるわけだが、本棚とか腕時計とかの使い方は、まさしくホラーじゃん。最近でも「インシディアス第2章」でもあったし、本作でいうと、若干強引。
もっというと、宇宙旅行の理屈はなんだかんだ、ごたくを並べてはいるが、感動の展開は、天文学的、神がかり的奇跡の連続でしかないわけで、その部分はまったくもって煙に巻かれる。
地球の危機がいつまでなの?結構のんびりしてんなあ、とか、クライマックスで、父奮闘、娘、兄の畑燃やす、ってなんだ、これ?と結構大きな引っ掛かりもあるし、時間の経過後の感動がある割に、時間の経過自体の描写はかなりあっさりしている。
「Interstellar」
それぞれの星におけるイベントはあるにはあるが、最初のほうは、その時間的ロスという本作のキモにあたるので、テンションは上がり、物語は急展開を迎えるのだが、先遣隊の博士の行った星では、さらに物語をまっさかさまにひっくり返す。このタイトルが何だったんだ?と思わせる展開を見せるが、まあ、別に「星と星のあいだ」でなくって、「父と娘の間に」と訳せばいいのだろう。
5次元クリアしたら、何でもあり、なわけで、ラストの四角いR2-D2を積んでの飛び立ちはパロディでしかないので、そこはギャグだろう。
追記
本作、あんまり地球全体の危機とか、地球の希望を背負って旅立つ感がとても薄い。いっそ、使命をもっての宇宙の旅、というのであれば、「宇宙戦艦ヤマト」をストレートにつくってほしいなあ、という気もする。もちろん、ノーランはやらないだろうが。
追記2
相変わらずなげえし、ハンス・ジマーの音楽もうるさい、うるさい。
追記3
エンドクレジット、短い!こんな短いの、久々だな。素晴らしい。
難解というのは一般人からしてみれば当然だと思います。「事象の地平線」だの「特異点」だの、そもそも相対性理論が一般常識であるかのように一切説明を諦めてますからね。ニュートン愛読者かゴリゴリのSFオタクじゃなきゃ初見は「ポカーン」となりますよ。