劇場公開日 2024年11月22日

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「最高だよ!これがノーラン監督か!」インターステラー CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5最高だよ!これがノーラン監督か!

2025年2月8日
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鑑賞方法:映画館

面白い!! この映画のレビューには、まずこの一言が絶対に必要。

「神が来て方舟を用意してくれる」といった設定はよく見かけるが、この映画の主人公は人間。主題は、「我々人間は、『自分たちではなく人類という "種" を存続させ、自分たちは滅びる』という選択をできるだろうか?」といった壮烈な問いかけ。俺はできない。俺がもし突然死ぬなら人類も滅んでよい。

まず、近未来の描写にしてやられる。強風が吹き荒ぶ大地。厳しい自然に耐えうる農作物が年々限定されていく世界。真綿で喉を締められるような、とよく表現されるが、終末はたしかにこんな感じでやってくるのかもと思わせる、かって描かれたことのない終末世界の様子。監督の想像力には恐れ入る。

特に際立つのは、「アポロが月に行ったというのは、実は地球上のスタジオで撮った映像」で(この話、トンデモ説として実際に一部の人たちに信じられているのは有名だ)、それはソ連を疲弊させるために行ったアメリカの演技だった、と歴史の教科書に書いてある世界を描く点。「この状況を招いた元凶は、科学」とみなされている世界を端的に描写する。科学大好きな俺には、まずこの描写がインパクトだった。そんなことありえないと言い切れないことが怖い。

そんな世界で、皆と同じく農業をしつつ科学者であることを生かして農機具の維持修理を細々としている父親と父の影響を色濃く受ける娘が主人公。
父は、人類の移住先を探しに、宇宙に現れたワームホールを通り遠宇宙への旅に出かけ、娘は、父との別れを深く悲しみつつも科学者となり父の帰りを待つ、という話。

遠宇宙の星々の描写がすごい! 水だけの惑星の波の凄まじいまでの高さ、岩肌が延々と続く惑星の広大さ。
そして恐らく初めて描かれる「重力による時間進行のズレ」の表現。それは水の惑星から母船に帰った時、観客全員が体感する。
まぁ、それだけの重力場をものともせずにせずに飛行している技術はすごいが、そこんとこは言いっこなしで。

そしてSF作家や映画監督たちを興味津々とさせるブラックホールという存在。俺は、ブラックホールに落ちたら死ぬと思っている。しかし、(「2001年宇宙の旅」の)キューブリック監督もノーラン監督も、明らかに最終地点・絶望の果てに見えるその場所の向こう側に、新たな世界が開けているのではないか、と考えているようだ。そしてそこには、より次元の高い世界へ移行するステップが隠れているのではないか、と俺たちに語りかける。確かにそうなのかもしれない。俺は怖くて落ちれないけど。

素晴しく楽しい169分を観終わった俺にとって意外だつたのは、ノーラン監督の映画なのに愛に溢れていたこと。「インセプション」「ダークナイト」「ダンケルク」「テネット」と観てきた俺にとって、ノーラン監督は、 "愛" という感情は極力抑える人だと思っていた。苦手なのではなく、あえて無機的に撮っているのだと感じていた(「ダンケルク」ですら、俺には無機的に見えた)。そんなところが、「現代のキューブリックはノーラン」と自他共に言われる所以なのかと思っていた。しかしこの映画は明けらかに "愛" の映画。それも感情を前に出したウェットなスタイルですらあるではないか。
本作を観ずにノーラン監督を観てきた俺はもしかして大きな間違いをしていたのだろうか? こんな後になってではなく、ちゃんと上映された時に本作を観ていたら、俺のノーラン監督像は大きく違っていたのだろうか?

とはいえ、この映画には「2001年宇宙の旅」リスペクトがそこかしこに見えて楽しかった。
同じコンピュータであるTARSと「2001年」のHALの対比は興味深かった。動かないHALと軽やかに動くTARS、冗談を言わないHALとイカした冗談を言うTARS。
なお、遠宇宙と地球の間の通信なのに、さほど時間がかからないで届いている点はきっと電波もワームホールを通るという設定だろうと考え納得した。

IMAXで見てよかった映画。ハッピーエンドだが、考えてみれば映画史上、最大のハッピーエンドなんだろうなぁ。

おまけ1
娘のマーフィーという名前のくだりで知ったが、マーフィーの法則は、「嫌なことが起きる」(有名な例は「バターを塗ったトーストが机から床に落ちてしまった時、必ずバターを塗った面を下にして落ちてしまう」だよね)ではなく、「起き得る事は起きる」という法則だったんだね。前者だと思い込んでたよ。

おまけ2
NASAは、「成層圏から敵国を攻撃せよ」という命令を拒否して潰された、との背景設定もありそうで怖い話。ただ、科学者は拒否したんだなぁと嬉しくも感じる。ノーラン監督の科学者への愛が滲むね。

おまけ3
アン・ハサウェイかっこよすぎ。

おまけ4
地球の時計を5次元から動かす。確かにこれはできる。五次元なのだから。わかったつもりでも実際に映像で観ると「なぜあの部屋から移動した時計も動かせるの?」と感じたりしてしまった。実際に映像化してもらうとこんな混乱も生じて、やはり経験してない五次元、わかりにくいもんだなぁ。

おまけ5
父として子供たちの一生を通信で知ると言うことの何とも言えない悲しみ。嬉しくはあるが悲しみ。それを仮想体験できる映画という手段の凄さ。

おまけ6
星から星へと渡るInterstellarの旅。このタイトル強烈。天才マン博士でも陥る恐怖から助かるということの誘惑。

おまけ7
ワームホールは球体だったと言うのはかっこいい。次元へのこだわりが感じられるし。

CB
seiyoさんのコメント
2025年2月25日

こんにちは〜。コメントありがとうございます。

本当に大好きな作品です。
今公開されていますよね
行くか悩んでいます。

去年は11月に観たので、今年のお正月は観ませんでした

お正月は
これ又大好きな
グランツーリスモを家で観ました

seiyo
どん・Giovanniさんのコメント
2025年2月13日

『七人の侍』へのコメントどうもありがとうございます。ホームシアターはピンキリありますね。ちなみに私は安いのでも満足してますよ。
『インターステラー』は号泣しました。

どん・Giovanni