「タイトルなし(ネタバレ)」インターステラー 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
自宅にて鑑賞。脚本に六年以上費やしたと云う大作。プロット自体は、R.ゼメキスの『コンタクト('97)』に近い。テーマを何と観るかで鑑賞後の印象が変わりえる多面的な構成になっている。古びたセピア調のロゴから始まり、前半トバし気味だと感じたが、しっかり伏線も利いている。特定の時間や場所にはコンタクト出来無いと云う割に……とこの監督のは、よく考えると綻びがありそうだし科学的観点からも細かいご都合主義は散見出来る。ただソレ等を超越するエンターテイメント性があると思う。2時間49分、退屈しなかった。75/100点。
・元はS.スピルバーグが企画を進めていたが、自身の製作会社の(パラマウント→ディズニーへの)移籍等を経て、C.ノーランがバトンタッチする形になった。ただS.スピルバーグの準備稿では“マーフ”が男性であったり、ブラックホールが二つ登場したり(仏の神話に登場する巨人“ガルガンチュア”と“パンタグリュエル”とネーミングされ、前者のみ残った)とかなり違ったモノだったと云う。亦ワーナー・ブロスは『13日の金曜日』と『サウスパーク』の映画権を譲渡する条件で、パラマウントから出資を取り付けた。
・C.ノーランは原案と(共同)製作した『マン・オブ・スティール('13)』でのノウハウにより、トウモロコシ畑を約500エーカー(東京ドーム43.3個分)育てた。その後、畑で育てたトウモロコシは実際に市場へ販売され、利益を得たと云う。亦、監督自身は興行収入の20%がギャラであると報じられた。
・劇中、「ロボット」ではなく「マシン」と呼ばれる“TARS”と“CASE”が佳かった──殆どはパペット使いが演じており、水中を走るシーンを始め操作・演技する人や道具を消去する合成が多用されており、フルCGはごく僅かしか使ってないらしい。
・“ブランド”のA.ハサウェイはアイスランドにおける水上でのシーンで、低体温症に何度も陥った。“ドナルド”のJ.リスゴーは、P.ハイアムズの『2010年('84)』に出ていた為、キャスティングされた。亦、紙とペンを使ったワームホールの説明は、P.アンダーソンの『イベント・ホライゾン('97)』で登場したのと同じモノである。
・“マーフ”の本棚には、S.キングの『ザ・スタンド』やG.ガルシア=マルケスの『百年の孤独』に混じって、劇中の登場人物達の架空の著書が多数散見出来る。
・鑑賞日:2015年5月8日(金)