蜩ノ記のレビュー・感想・評価
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やっぱり時代劇は分からん
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かつて身分の高い女性と肉体関係を持ったとされる役所がいた。
しかし藩の歴史書の編纂中で、10年間だけ命を長らえた。
その期限が近いということで、岡田が見張り役として派遣される。
岡田が調べると、役所は実は罪をかぶっただけだった。
こうして岡田はことあるごとに役所の味方につくようになる。
やがて事件が起こり、取り調べで役所の子の友人が死ぬ。
役所は老中のところに出向き、堂々たる態度で老中を殴る。
老中はぐうの音も出なかった。
こうして期限が来て、役所は切腹。
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時代劇の質素な感じは好きなはずなんだけど、
どうも面白いと思ったことがないんよなあ。
今回も御多分にもれず。
しかも難しく、細かい設定がよう分からんかったわ。
素晴らしかった
武士や当時の人々を極めてリアルに描こうと試みている感じが素晴らしかった。明治以降の言葉を使っていないようで、よくわからない言葉もあった。
武士の慎ましくて、誠実で真面目な生活ぶりは背筋が伸びる思いがするのだが、笑いがなさ過ぎではないだろうか。
堀北真希ちゃんが美しかった。ミステリーの要素も面白かった。クライマックスはひたすら地味だった。役所広司が10人くらい斬り殺し鬼のように強かったが、家老を殴るのが最大のアクションだったかもしれない。家老は子どもにも柄をお腹に当てられて悶絶していた。最大の悪である商人が全く成敗されず、野放しだった。
武士
戸田や檀野を通して武士道とはこういうものだというのをみせられた気がしますが、良くも悪くも武士の時代はこうだったんだなと思いました。
戸田の息子が友の仇のために家老の屋敷に乗り込んで行くところは、子供ながらに勇ましく武士道を感じました。
一矢報いた時は「見事!」と心の中で叫びました。
あとはやっぱり切腹の日ですね。
お茶を飲む時に、そっと妻の手をとり握りしめ…ここは泣いてしまいます。
当時、武士の妻でこういう風に見送らなければいけない人は少なからずいたと思いますがどういう気持ちで送り出すんだろうな…
予告から大筋はわかっていましたが、その中で紡がれる武士としての誇りや命の尊さ、家族への想いに涙した物語でした。
秋谷の最期の姿
秋谷の生き様にだんだんと心を入れ替えていく壇野庄三郎。あっぱれな程芯の通った生き方をしてきた秋谷を演じた役所広司はやっぱりすごいなと思った。
本当にありそうな話だからこそよりリアルな演技が出来たんじゃないかな。秋谷が最期、死刑場に向かっていくシーンがすごいよかった。
岡田准一が第38回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を取ったからほんと見て正解。
すべてが潔い。
静謐とは、この映画のためにある言葉と感じた。
ストーリーが進むにつれ、居住まいを正している自分に気付く。終盤、最後の言葉を交わす夫婦の笑顔に目頭が熱くなる。武士も、農民も、僧侶も、潔く、生を全うしている。
いい経験をさせてもらった。
友。
キーワードは “友”
庄三郎と信吾は仲たがいをするが、仲直りをする。
郁太は親友である源吉が理不尽な死に方をしたとき元凶である兵右衛門に 「抗議」 をする。
そして秋谷ははじめて庄三郎と会ったときに兵右衛門とは「学友」であったことを明かす。そこを深読みをすれば秋谷と兵右衛門はかつては “友” だった。(かも、しれない)
だからクライマックスで秋谷が兵右衛門に拳を振り上げるのは怒りでも批判でもなく、かつて “友” だったものに対する戒めである。
「民を忘れるな」という戒めである。
そうでなければ兵右衛門が考えを改めたり、その後に “義勇” の文字が現れない。
兵右衛門には足袋のシーンを入れて人柄とこの陰謀の背景(藩の財政のためにこれを画策した)を想像させていて、個人的には映画のキャラの方がしっくりした。
すべては終えた。志は息子が継いで行くし娘婿はそれを助けるだろう。だから秋谷には憂いもなければ未練もない。ただ去ってゆく。
(西部劇の様な演出を意図的にしている)
だから後味が良いのだ。
忍耐という歴史。
なんて美しい日本映画だろう。
とかく日本人は蔑まれて侮辱されて卑下されても耐える。
これほど忍耐に秀でた国民性は世界にないと思うのだが、
それは日本人が受け継いできた歴史に因るところが大きい。
納得のいかない仕事に対しても、難儀を申しつける上司にも、
逆らわず(逆らえず)辛酸を舐めてきた武士や農民がいた。
彼らは決して馬鹿ではないし、臆病者でもない。
反旗を翻して戦うことだけが得策でないのを心得、
時が過ぎ忍耐が報われるまで脈々と歴史を紡いできたのだ。
主人公・戸田秋谷の名文句に、幾つも頷かされる。
人生いろいろと云うけれど、こんな難儀な運命もないだろう、
戸田に課せられた10年後の切腹と家譜の編纂は長い。
冒頭の紹介から彼の人となりが語られ、更に事の真相に話が
及ぶと、これが謀られた処罰であることはすぐに分かる。
だがそれをものともせず、あくまで残り3年後に迫った切腹は
果たすと誓う秋谷。それはなぜなのか。謂れなき罪を着せられ、
ただひたすらとそれに向かう武士の心中が最後に紐解かれて、
ああそうだったのかと至極納得。彼は大殿への忠義を果たした。
だからあの晴れ晴れとした笑顔なのか。あんな笑顔で切腹に赴く
武士など見たことがない。爽やかな終焉に涙が予告なく零れる。
何もかもやり遂げて思い遺すことはない笑顔に何も言えない。
美しい四季に彩られた野山の景色に作物の収穫、い草織りなど、
日々を巡る農民の働きや年貢の取り立てなど、生活に根差した
描写が生きる繁栄を伝え、やっとの家老の決断に真実味を促す。
最後になって聞こえてくる蜩の声が、いつまでも耳に残る。
何をやっても絵になる役所の名演技と、若侍の岡田准一の抑演、
妻も娘も息子も友人も敵方もその佇まいや所作に狂いがない。
派手さは何もないのにどうしてこれほど武士道を感じ入るのか、
黒澤組で小泉監督が培った風情の趣には恐れ入るばかりである。
(もちろんエンディングも一切手抜きなし。これぞ正統派時代劇)
テーマが見えない映画
とても悲しい映画でしたが、話に山場が無いし、テーマがはっきりしませんでした。
良い映画なんですが、そういった時代のため、事実を知りながらも悪い家老を殴るぐらいで、あまり感動しませんでした。
それに家老が、お家騒動の張本人のようですが、不思議と人格者でもあり、あまり憎めませんでした。
だから、水戸黄門みたいな勧善懲悪な話じゃないため腰砕けな印象だったし、
自分の名誉より藩の事を優先する立派で、さみしい生き方をした一人の武士がいたのだと思う程度の映画でした。
映画の中に切腹シーンはありませんでしたが、映画の冒頭に切腹シーンを持って来て回想にしたら、もっと良い映画になったと思います。
見やすかった。そして時代劇の岡田准一!
周りは年配者ばかり・・でも気にせず岡田さん目当てで観ました。
侍役は狙い通り良くって・・大河ドラマの印象もさながら・・スクリーンで観れて満足。
堀北さんも私は好きなんで、お二人のように若手で時代モノにこうして出てくれるとすごく見応えある。 若い世代にもぜひ見て頂きたい。
物語は小説のように台詞も美しく、映像や音楽も良かった。
秋谷の切腹までの10年を丁寧に描いていて好感が持てた。
じっくり年月を感じる。最近、こうしたゆったりとした作品を観ていなかったので勉強になりました。
寺島しのぶさんの尼の役どころも美しくって良かった。
キャスティングは私は好きな方ばかりだったので安心安定。
時代モノ・・なかなか見ないんですが、見やすかったです。
岡田さんがいたからかなーー・・・。
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