「派手さはないが非の打ち所がない時代劇」蜩ノ記 大塚史貴さんの映画レビュー(感想・評価)
派手さはないが非の打ち所がない時代劇
静謐な佇まい、美しい所作なども含め、非の打ちどころがない時代劇である。
派手さはない。されど、きちんと時代劇の脈々と受け継がれてきた系譜を、きちんと踏襲した素晴らしい作品。
原作は、第146回直木賞を受賞した葉室麟の同名小説。
これを、「雨あがる」「博士の愛した数式」の小泉堯史監督のメガホンで映画化したのだから、非の打ち所がないというのも納得できる。
役所広司演じる戸田秋谷は、前代未聞の事件を起こしたことにより、10年後の夏に切腹すること、その日までに藩の歴史である「家譜」を完成させることを命じられ、幽閉生活を送る。
あと3年となったある日、岡田准一扮する庄三郎が監視役としてやってくる。
それにしても、10年後に切腹を義務付けられた男が、どのような心持ちで1日1日を過ごしていくのかを、役所は説得力を帯びた静かな芝居で淡々と見せていく。圧巻としか言いようがない。
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