デッドマン・ダウンのレビュー・感想・評価
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復讐心を胸に出会った男と女
それぞれの復讐心を胸に出会った男女。
暗殺者ビクターのハードな復讐劇と、顔に傷を負い失意の女性ベアトリスの少々センチメンタルなお話が、奇妙なバランスで交錯し面白かったです。
ノオミ・ラパスが人との出会いや時の流れに移ろい揺れる心を丁寧に見せてくれたと思います。イザベル・ユペール演じる母親との親密で優しいやりとりも心に残りました。
ホントはやめたいリベンジマッチ
スウェーデンで大ヒットしてハリウッドリメイクもされた
『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』の監督、
ニールス・オルゼン・オプレヴのハリウッドデビュー作。
マフィア内部に新入りとして潜入し、過去の復讐を目論む男。
とある目的を持って彼に近付く、顔に大きな傷を持った女。
傷を抱えた者同士惹かれ合う2人は、お互いの目的を果たすことが出来るのか。
……といったあらすじのサスペンスアクション。
大筋だけ見ればありふれたプロットではあるし、
予告編で受ける印象よりもアクションシーンはずっと少なめだ。
しかし、さすがは『ミレニアム~』を撮った方だけあると言うべきか。
主人公の正体がいつバレるか?というサスペンスの引っ張り方は
イチイチ巧いし、アクションシーンも短めでありながら
キレ味が良く緊迫感も高いので、不満は感じなかった。
クライマックスの大立ち回りは派手さもキレも申し分無い!
何より良いのがキャラクターだ。
復讐に燃えてはいても非情にはなりきれない主人公。その複雑な心情。
家族フィルムを繰り返し見ながら涙をこらえる姿、
“ネズミ”のシーンの最後に取った行動、
女との絆が続かないと悟った瞬間の寂しげな表情、
そして最後、主人公が友人に語る“理由”が切ない。
ここのところ目立たなくなってしまったが、コリン・
ファレルってアクションも演技もこなせる良い役者さんだと思う。
ヒロインのノオミ・ラパス。
彼女って僕にはあんまり美人に思えないのだけれど(←失礼な)、
監督との相性が良いのか、この映画では俄然魅力が増して見える。
序盤で見せるあの“変わり身”っぷりには戦慄したが(笑)、
主人公に惹かれるうち、当初の暗い目的を忘れて
元来の前向きさを取り戻していく姿がいじらしい。
復讐だけで繋がっていた主人公とヒロインの関係が徐々に変化し、
そもそもの目的であったはずの復讐が彼らの未来を
妨げるようになり始めるというドラマが皮肉かつ魅力的。
また、単純明快な悪党もこの映画には登場しない。
のっけのシーンから敵側であるマフィアにシンパシーを
持たせるような描写を入れたり、主人公にとって仇である
マフィアのボスも大物然とはしておらず、内心は脅迫に
怯えていたり、殺し屋稼業を営むアルバニア人たちにも
親愛の情がある。
そこが単なるアクション映画には無い余韻を与えていると感じる。
小品という印象は拭えないけれど、
サスペンスアクションとしては一定以上。
『手堅い出来』という以上の面白さ!
観て損ナシの判定3.5、と付けたけど、
もっと細かくスコアを付けられるなら3.75くらいが妥当かな?
面白かったっす!
〈2013.10.28鑑賞〉
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