「同時代のスリリングな記憶」ラッシュ プライドと友情 KIKUCHIYOさんの映画レビュー(感想・評価)
同時代のスリリングな記憶
スーパーカー世代の自分にとって、ニキ・ラウダとジェームス・ハントは、伝説の存在。F1の轟音を聞くと、まだ鈴鹿がなかった時代の富士スピードウェイに行ったことを思い出す。もちろんF1ではないが…。ラウダはコンピュータ、ハントは野生動物のようだった。思い返せば、F1という同じ土俵で、相反する性格の二人が、王座を争うという稀有な出来事は、小説より奇なる事だった。今とは違い、当時のF1の安全性は、棺桶と言われたほどで、二人の争いは、命がけの勝負だったのだ。
この作品の76年の出来事は、同世代の少年なら誰もが覚えているだろう。まるで、奇跡のような年だった。だから、この作品を観始めると、感動で胸が熱くなる。ラウダがシーズン途中からF1に復帰したことは、誰もが衝撃を受け、二人の好敵手が日本GPで相まみえることは、興奮させた。もちろん、こんな事情はよくわからなかったから、ラウダが棄権したことに、大いに失望したことを覚えている。
この作品は、きっと世代によって見方は随分違うと思う。しかし、僕はリアルなイベントとして、76年が一生忘れられない年であったことを今日再認識した。
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