「reckless」ラッシュ プライドと友情 everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
reckless
F1レーサーJames HuntとNiki Laudaの物語。
オートレイシングは全く知らなかったのですが、彼らがF3からF1へと昇格していく過程やポイント制のチャンピオンシップから、どういったスポーツなのかを大まかに理解出来ました。意外と沢山レースがあるんだなぁと。
最後のシャンパンを、浴びるのではなく壇上から浴びせてやりたい。
チャンピオンという同じ目標を掲げながら、そのアプローチ方法も性格も真逆なこの2人。
楽しんだ者勝ち、とにかく楽しまなきゃ損!と生き急いだ感じのHunt。
“[Live] as if each day is your last.”がモットー。
酒に溺れ計画性がなく良い加減だけど明るくて人気者。
理論や確率、安全性を重んじ、努力と鍛錬を惜しまないLauda。クソ真面目で愛想がなく友人が少ないかのような描写。
Laudaの事故後のリハビリと驚異的な復帰には心を打たれました。自分の変わり果てた容姿に周囲が言葉を失うのを見ても、以前にも増して強気な発言をしてくる。別に気を遣わなくていいんだという彼なりの配慮のようにも映るけれど、むしろ本人自身が外見の復元なんかより一刻も早いレース復帰だけを目標にしてきたようで、死の淵に立たされてもF1への情熱が消えない真のレーサー魂の持ち主でした。復帰のレースシーンを観ていたら涙がぼろぼろ出ました。また、結果の出ないドライバー、故障したドライバーは、ほとんど使い捨てかのような残酷さも感じました。
最終決着が着く日本グランプリ。どう再現したのだろうというくらいの臨場感。更に視界を悪くするシャワーのような水しぶき。ただレーシングを見せるだけではなく、緩急のつけ方がとても上手いと思いました。レース中の無になる瞬間、バックミラーに映るライバルの姿…。劇場で観たかった…。
リハビリ中の励みになったのはHuntの活躍。
死ぬ気でレースに挑ませたのはLaudaの意地。
良きライバルであり友だった2人。
映画は闘志を燃やすようなrivalryに重点を置いていましたが、実際は一緒に暮らしたこともあるほどの親友だったということで、最後のご本人写真からは仲の良さが滲み出ていました。2人に加えて伴侶達まで結構似せているというか似ているというか、キャスティングも絶妙。James Hunt、人の良さが顔に出てる(^^)。
結果的にF1レーサーとしてはLaudaの方が上かしらという気もしましたが、Huntの最大の功績は、Laudaを不死鳥のように蘇らせたことですね。
5月にお亡くなりになったLauda。
御冥福をお祈りします。
感動的な実話ベースの作品でした。
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見ていてとにかく危ない、おっかない、ヒヤヒヤもののレース。軽量化が重要だろうから防御装備が少なくて本当に怖い。毎年2人死ぬって…(>_<)。生きてレースを終えるだけでも凄い。生きて帰れる運転の技術が凄い。
悪天候のためLaudaの他複数が棄権した日本グランプリ。“My life is worth more than a title." と。最悪の事故を生き延びたからこその決断ですし、Laudaの存在が他のレーサーの命を救ったかも知れません。
Niki Laudaの妻Marleneは夫の外見に相当ショックを受けたようですが、その描写の代わりに足された脚色があの無礼な記者の質問ということなのでしょうかね。その後Nikiの浮気で離婚。
Huntは引退後、経済的に困窮して(いかにもしそう)アル中に。Laudaが2回ほど金銭的援助をして立ち直ったと。
“..... the closer you are to death, the more alive you feel.”
“Stop thinking of it as a curse to have been given an enemy in life. It can be a blessing, too. A wise man gets more from his enemies than a fool from his friends."
“Some of life needs to be for pleasure. What's the point of having a million cups and medals and planes if you don't have any fun? How is that winning?”