「女優の切り札。」グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
女優の切り札。
数々の女優が(おそらくは)恐れをなして主演を辞退する中で、
「私を使って」とばかりに、自分からアプローチして役を得た
というN・キッドマン。どうやらかなりのファンだったらしい。
確かに彼女はとても美しいが、G・ケリーとは、その美しさの
ベクトルがまったく異なっているのが分かる。
あんな女優はもう二度と出てこないと過去作品を観る度思う。
彼女の伝記映画かと思って観に行くと箍が外れる作品。
公妃となって6年後、モナコが最大の危機に見舞われた
当時の国の情勢を彼女の機転が救いました、という作品。
一般人が皇族や王公族に嫁いで苦労を重ねることは、
日本の皇族を見ているだけでもやたら感じることが多いので、
あれだけ有名スターだったグレースの孤立は酷かっただろう。
でも、自分で選んだ人生なのだから、自分で責任をとるのは
当たり前のこと。彼女の選んだ決断(女優復帰はしない)は、
嫁いだモナコの民衆に受け容れられるための第一歩であるし、
夫であるレーニエ大公との将来と決意を固める好機会だった。
のちに事故死(52歳、早すぎる)するまでの間、様々な問題に
直面しながらも彼女はモナコ公妃として務めを果たし続けた。
それにしても嫌な野郎に描かれる当時のド・ゴール大統領。
いいんでしょうか?あんな風に描いちゃって^^;とやや心配に
なったりもする。一応、空港名にもなっている方ですからねぇ。
何だかもう学校でのいじめを見ているような気分。
小さく弱い立場を追い詰め、とことん脅迫する陰湿なやり口。
巧い一言が言えない大公(この描き方もどうかなと)に代わって、
演技なら任せて♪とばかりに大見栄を切る元・大女優グレース。
つまり、ここが最大の見せ場!になるはずなんだけど…
あのスピーチが、果たして本当の切り札になったんでしょうか。
私的にはM・カラスの歌声の方が感動的だったような…(失礼)
ダイアナを演じたN・ワッツが頑張っていたことを鑑みれば、
今回のニコールもよく頑張って演じていたと思う。
(私的には演出が今一歩。歴史事実以外どこもやや中途半端)